会社の資金繰りがうまくいかなくなり、資金ショートを起こしてしまうと、さまざまなところから差押や租税債権の滞納処分がかかってしまいます。
そんなとき、今までの債務をすべて0にできる自己破産を最後の手段として考えている事業主の方もいらっしゃるでしょう。
しかし、自己破産するにもたくさんのデメリットが存在するのです。
今回は会社の自己破産をした場合のメリット・デメリットを詳しく解説するとともに、資金ショートを起こした際の打開策を見つける方法をご紹介していきましょう。
- 会社が自己破産をした場合の3つのデメリット
- 1.自己破産するにもお金がかかる
- 2.事業の継続や会社財産の保持ができない
- 3.中小企業の場合など連帯保証債務の返済が困難
- 会社が自己破産をした場合の3つのメリット
- 1.親族を巻き込まずにすむ
- 2.経営者自身も自己破産すれば、再スタートして貯蓄を残せる可能性がある
- 3.取引先や債権者への迷惑を軽減できる
- 資金ショートを起こす前が自己破産の決めどき?
- 資金ショートで自己破産?打開策を見つける方法
会社が自己破産をした場合の3つのデメリット
1.自己破産するにもお金がかかる
個人の場合は法テラスを利用すれば弁護士費用は工面できますが、法人の場合は法テラスを利用できません。
会社が自己破産する場合は、弁護士費用と裁判所の予納金を自分で用意する必要があります。
自己破産するだけで数百万円がかかるというケースも少なくありません。
2.事業の継続や会社財産の保持ができない
会社の自己破産によって事業は停止し、換価可能な財産は換価されます。
今まで通り事業を続けたり、会社財産を保持したりすることは不可能です。
3.中小企業の場合など連帯保証債務の返済が困難
中小企業が金融機関からの借り入れ、リース会社に対する債務がある場合、社長の連帯保証がついているケースがほとんどです。
会社が自己破産をすれば、社長も債務整理(ほとんどが自己破産)する必要があるでしょう。
会社が自己破産をした場合の3つのメリット
デメリットと比較して、会社が自己破産をした場合に考えられるメリットも参考にしてください。
1.親族を巻き込まずにすむ
家族経営などの中小企業の場合、金融機関に借り入れる際は親族が連帯保証人となるケースも多いでしょう。
当然ながら会社が倒産すると、その親族も債務整理を迫られることがあります。
特に、親族名義で個人ローンを組んでもらっている、住宅を担保にしている場合など状況が悪くなってからの自己破産は、親族を巻き込んでしまいます。
そうなる前に自己破産すれば、親族を巻き込むリスクは最低限に抑えられます。
2.経営者自身も自己破産すれば、再スタートして貯蓄を残せる可能性がある
会社とともに経営者も自己破産手続きを行い、免責を受けられた場合、その後に稼いだお金は経営者の貯蓄にできます。
これは免責を受けた時点で会社の借金がリセットされるためです。
そのお金を元に新たな事業を始めることもできるでしょう。
3.取引先や債権者への迷惑を軽減できる
会社が自己破産すると、取引先や会社の債権者に迷惑をかけてしまうのは当然のことです。
しかし、債権者にとっては事実上支払い不可になるだけよりも、正式に自己破産してもらったほうが、税務上賃倒損失を計上しやすくなるので、かける迷惑を少しは軽減できるのです。
逆に債務者が自己破産していない場合、残った債権は債権者の財産として計上され、課税されてしまいます。
従業員も同様に、自己破産せずに事業停止になってしまった場合は、未払い残業代などの請求を自分で行う必要があるなど余計な迷惑をかけてしまいます。
資金ショートを起こす前が自己破産の決めどき?
自己破産をするのなら、予納金などが用意できるくらい余裕があるうちに行わないと弁護士も打つ手がありません。
取り立てや強制執行を止められず、債権者にすべて持っていかれてしまいます。
そのため、自己破産をするかどうか決めるのは、資金ショートを起こすよりも前にするべきといわれています。
しかし、本当に自己破産をするかどうかは慎重に判断するべきです。
会社が自己破産すれば、その社長も自己破産せざるを得ないケースがほとんどです。
個人の自己破産はブラックリストにのるなど社会的なペナルティも多く、家族にも辛い思いを強いてしまうものでしょう。
それに加えて、ここまで紹介してきたデメリットを思い出してください。
自己破産を考える前に、ほかの方法を考えてみるべきです。
もし、自分だけではどうしたらいいのかわからないというときは、資金繰りや事業再生に関して専門的な知識を持った専門家に相談してみることをオススメします。
資金ショートで自己破産?打開策を見つける方法
会社の資金繰りが厳しくなり、資金ショート状態になってしまうと、「自己破産すれば…」という考えが頭をよぎるのも無理はありません。
しかし、自己破産をするにもお金が必要だったり、会社だけではなく社長個人も自己破産が必要だったりと、大きなデメリットがあることも事実です。
可能ならば資金ショートする前に、専門知識をもった専門家へ相談することをオススメします。
たとえ「手遅れかもしれない」と思っていても、何かしら打てる策はあるかもしれません。
自己破産を考える前に、まずは打開策を探してみましょう。
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