- 資金繰り表(月次)の目的
- 資金繰り表(月次)を作成するために必要な資料(準備資料)
- ・直近残高試算表
- ・総勘定元帳
- ・借入返済明細表
- ・固定資産税・都市計画税納税通知書
- ・売掛金台帳
- ・買掛金台帳
- 資金繰り表(月次)を作成するための注意事項
- 資金繰り表(月次)サンプルをダウンロード
- 資金繰り表(月次)の作成手順
- 1.当月度予想欄の前月繰越残高に金額を入力する
- 2.当月度予想以降の受取手形期日落ちに金額を入力する
- 3.当月度予想以降の資産売却に金額を入力する
- 4.当月度予想以降の支出欄にて明確な金額が確定している勘定科目を入力する
- 5.当月度予想以降の財務欄の借入金返済を入力する
- 6.得意先別に売上高(入金額)を確定させる
- 7.人件費項目を確定させる
- 8.買掛金を確定させる
- 9.その他の勘定科目を確定させる
- 資金繰り表(月次)をどの様に読み解くのか
資金繰り表(月次)の目的
資金繰り表の目的は、将来の資金予想を立てることです。
万が一、資金が回らなくなる不測の事態に陥る場合を早めに予想して対応策を講じるための計表です。
また、設備投資等をする場合に手元資金で賄えるのか、新規融資を依頼するのか、購入するのか、リースにて対応するのか等を検討するための計表です。
資金繰り表は、予想される事項を想定して、将来(3ヶ月先、6ヶ月先、1年先)の資金予想を検討するための重要な資料となります。
資金繰り表(月次)を作成するために必要な資料(準備資料)
- 直近残高試算表
別紙『資金繰り表(月次)Sample』を1月度から12月度まで予想作成することから、前年12月末日の残高試算表をご準備いただきたいと思います。 - 総勘定元帳
上述した残高試算表では、各勘定科目ごとに前月残高と借方・貸方および当月残高のみが記載されており、仮に今期にイレギュラー費用が発生していた場合はそのイレギュラー費用を控除して今後の予想をする必要があることから総勘定元帳もご準備いただきたいと思います。 - 借入返済明細表
借入返済明細表については、金融機関別借入口別に返済明細表をご準備いただくことと、リース契約および賃貸契約等についても同様に返済明細表をご準備いただきたいと思います。 - 固定資産税・都市計画税納税通知書
会社所有不動産等が存在する場合は、固定資産税・都市計画税納付通知書をご準備いただき、何月にいくら納付するのかご確認いただく必要がありますので、ご準備いただきたいと思います。 - 売掛金台帳
売掛金台帳とは、得意先別に何月度にて売上高がいくら発生したか、その発生額に対して入金月はいつになるか等が把握できる様な計表とお考えください。 - 買掛金台帳
買掛金台帳とは、仕入先別に何月度にて仕入高がいくら発生するか、その発生額に対して支払月はいつになるか、現金支払いか、支払手形決済等かを把握できる様な計表とお考えください。
資金繰り表(月次)を作成するための注意事項
会計処理の仕方が税別か税込かをまずはご確認いただきたいと思います。
もし、わからなければ税理士の先生にご確認ください。
税別、税込により消費税等を考慮する必要があることからです。
資金繰り表はあくまでも予想ですから100点はあり得ません。
あまり複雑にお考えにならずザックリ(言葉が適切ではないかもしれません。)で宜しいと思います。
しかし、明確な金額が発生する勘定科目(例えば支払手形決済、家賃、リース費等)については明確な金額を計上する必要があります。
また、作成方法の考え方としては、入金は少なめに出金は多めに計上されることをお勧めします。
また、資金繰り表と残高試算表は相違するものですから、残高試算表上で営業利益が黒字計上されていても資金繰り表では差引過不足(収入合計額から支出合計額を控除。)が赤字になり、翌月繰越残高が減少することもあり得るので残高試算表と資金繰り表は別モノとお考えいただき、両計表を読み解く知識を養う必要があると思います。
簡単に資金繰り表と残高試算表の相違点を申し上げると、資金繰り表は将来の予想で、残高試算表は過去の実績です。
資金繰り表は入金ベースですが、残高試算表は発生ベースです。
また、資金繰り表は少なくとも月1回はアップデートされることをお勧めします。
資金繰り表(月次)サンプルをダウンロード
以下のボタンから資金繰り表(月次)サンプルをダウンロードして下さい。
もう少し詳しく内容を知りたい方は、ご相談下さい。
資金繰り表(月次)の作成手順
先ずは、収入、支出、財務欄ともに明確に確定している勘定科目から金額を入力することをお勧めします。
毎月の売上高を予想して、そこから得意先別に決済条件を考慮して現金回収なのか、受取手形回収なのか等については後述させていただきます。
不明確な事項は後述させていただきます。
1.当月度予想欄の前月繰越残高に金額を入力する
1月度月初の現金預金残高ですから、言い換えれば、前年12月末日現在での現金預金残高と同一となります。
従って、残高試算表(前年12月末日)の貸借対照表の現金預金残高を計上すれば宜しいです。
2.当月度予想以降の受取手形期日落ちに金額を入力する
得意先から受領した受取手形(約束手形)で金融機関等にて割引をせず、手持ちの受取手形(支払期日が1月1日から1月31日まで)の受取手形の合計額を1月度予想欄に入力する。
2月度予想以降については、既に受領している受取手形で割引予定がない受取手形額を入力する。
3.当月度予想以降の資産売却に金額を入力する
1月度以降にて資産売却する場合で、売却月が明確であればその月に売却予想額を入力する。
4.当月度予想以降の支出欄にて明確な金額が確定している勘定科目を入力する
支払手形決済については、既に支払手形を発行していることから、いつ当座口座からいくら引き落としされることが明確です。
既に発行している支払手形の額面合計金額を入力する。
一度、買掛金台帳等を作成されてから資金繰り表に入力することをお勧めします。
買掛金台帳については後述させていただきます。
賃借料(リース)等については、返済明細表よりいつ、いくら支払う必要がある旨、明確に把握することができるのでその金額を入力する。
リースアップして、再度、再リースする場合も同様に返済明細表より把握可能と思われます。
保険料については、賃借料(リース料)同様に返済明細表(支払明細表)にて把握することが可能と思われます。
租税公課については、会社所有不動産等が存在する場合は、固定資産税・都市計画税納付通知書から、何月にいくら納付するのかご確認いただければと思います。
また、税込にて資金繰り表を作成する場合は、租税公課に消費税(中間納付等)も入力する必要があります。
支払利息については、金融機関からの返済明細表に支払日が記載されておりますので、支払利息分のみを入力していただき、元本については後述させていただきます財務欄の借入金返済に入力いただければと思います。
注1:収入欄、支出欄ともにSampleとして勘定科目を列記しただけですので、自社の残高試算表をもとに金額が多い勘定科目を記載していただき、自社なりにアレンジしていただければ宜しいと思います。
5.当月度予想以降の財務欄の借入金返済を入力する
借入金返済については、金融機関からの返済明細表に支払日が記載されておりますので、支払利息については4.にて記載させていただきました支払利息に、元本については借入金返済に入力いただければと思います。
先ずは、収入欄、支出欄、財務欄ともに明確に把握できる勘定科目から金額を入力することをお勧めします。
6.得意先別に売上高(入金額)を確定させる
資金繰り表で一番重要になってくるのが得意先別の売上高(入金額)を予想することだと思います。
資金繰り表の現金売上、売掛金回収、受取手形割引、受取手形期日落ちについては、一度、売掛金台帳等を作成されてから資金繰り表に入力することをお勧めします。
売掛金台帳とは、得意先別に何月度にて売上高がいくら発生したか、その発生額に対して入金月はいつになるか等が把握できる様な計表とお考えください。
得意先別に売上高を確定させる作業ですが、得意先からのフォーキャスト(発注予想)が存在するのであればそのフォーキャストをもとに掛け目(過去の内示と確定の達成率を考慮する。)から受注予想金額を算出します。
また、毎月一定の売上高が約束されているのであれば、一定の金額を売上高として計上可能ですが、一般的に売上高は増減すると思われます、その増減については過去3年ぐらいの売上高推移をもとにして計上せざるを得ないのではないでしょうか。
注2:B製作所の場合、決済条件が月末〆翌月末起算60日手形ですから、上記記載の入金月はあくまでも受取手形期日落ちの場合の入金月です。
従って、金融機関等にて割引を実行する場合には、入金月が前倒しされ、かつ、割引料を控除された金額(リアルに入金させる金額。)を入力することが必要となります。
7.人件費項目を確定させる
役員報酬、給料手当、雑給、派遣人件費については、別途、各人別に基本給および諸手当を加味した計表を作成して、6.にて決定した売上高の増減にともない各人別に残業発生するのか、はたまた時間短縮するのか等を考慮して算出することをお勧めします。
法定福利費および福利厚生費については、足元数ヶ月分(累計)の残高試算表をもとに、役員報酬、給料手当、雑給の合計額に対する法定福利費額および福利厚生費額から法定福利費率および福利厚生費率を算出して、計上することをお勧めします。
8.買掛金を確定させる
買掛金については売掛金同様に、一度、買掛金台帳等を作成されてから資金繰り表に入力することをお勧めします。
買掛金台帳とは、仕入先別に何月度にて仕入高がいくら発生するか、その発生額に対して支払月はいつになるか、現金支払いか、支払手形決済等かを把握できる様な計表とお考えください。
上記計表は、既に発生し支払うべき金額が明確であることから入力は安易ですが、以降、現金支払、支払手形の金額がどのくらい発生するか不明確であることから予想する必要があります。
売上高を確定させましたから、直近の残高試算表の損益計算書から原価率を算出するという方法で宜しいと思います。
しかし、本来あるべき姿としては、製品ごとに原材料費、購入部品費、副資材費、外注費等について、別途、部品構成マスターを作成しておき、受注製品別に売上高、原材料費、購入部品費、副資材費、外注費等が把握できる様な計表を作成しておくことが必要です。
この計表は予算作成時にも大いに役立つ計表となります。
是非、ご作成されることをお勧めします。
9.その他の勘定科目を確定させる
外注費以下、赤字の勘定科目については、直近の残高試算表の損益計算書の売上高構成比を流用することをお勧めします。
資金繰り表(月次)をどの様に読み解くのか
売上高(入金高)を計上し、各勘定科目ごとに金額を計上して資金繰り表は完成ですが、ここからどうするか、どの様な対策を講じるのか、を検討して実行することがマネジメント層の方々の仕事です。
先ずは、翌月繰越残高の推移を見て上昇傾向か、下降傾向かを把握する。上昇傾向であれば喜ばしいことですが、下降傾向であれば、差引過不足(収入合計額から支出合計額を控除。)の赤字月をいかに減少させるか、いかに黒字にさせるかを検討する必要があります。
毎月の差引過不足額が黒字であれば間違いなく資金は増加しますので、少なくとも差引過不足額にて黒字計上になる様に収入を増加させるもしくは費用をコントロールすることが重要ではないでしょうか。
今回は、資金繰り表(月次)作成方法についてご説明させていただきましたが、資金繰りがタイト(厳しい)場合には、別途、日繰り表いわゆる資金繰り表(日次)を作成する必要が発生します。
小職でよろしければいつでもご支援させていただきます。
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