- 資金繰りに精通したコンサルタントの役割
- ・資金繰りに精通したコンサルタントへ相談するメリット
- 具体的なサポート内容例
- ・資金調達や銀行融資に関するコンサルティング
- ・銀行融資に必要な書類の作成も支援
- ・経営改善や計画書の作成に関するアドバイス
- 資金繰りが悪化する6つの原因
- 1.業績悪化による売り上げ減少
- 2.急激な売上増加
- 3.過剰在庫が発生している
- 4.売掛金回収と買掛金支払のバランスが悪化している
- 5.無理な利益配分
- 6.資金繰り状況を正しく把握できていない
資金繰りに精通したコンサルタントの役割
資金繰りに精通したコンサルタントとは、その名の通り、企業の資金繰りに関する問題や悩みの解決を支援する専門家のことです。
役割としては、資金繰りに関する問題と同時に資金繰りに窮した原因を追究して、抜本的に改善・改革していくことです。
前提として資金繰りとは、企業が自社の資金の動きや資金残高を管理することを指します。
経営が順調に行われているときには、資金繰りの優先順位を低く考え、改善や最適化を行わないまま過ごすというケースも多く見られます。
そのため、経営が上手くいかなくなって初めて「具体的な資金繰り」の方法を知らない、理解していないことに気付く経営者の方も少なくありません。
そういった、資金繰りに関わる課題や悩みを抱える経営者や企業の良きアドバイザーとなり、主に資金調達・銀行融資交渉などのサポートを行い、健全な状態に導くことが資金繰りに精通したコンサルタントの仕事なのです。
資金繰りに精通したコンサルタントへ相談するメリット
資金繰りに関する悩みや課題の解決には、根本原因の洗い出しや迅速な資金調達などが必要となります。
しかし、資金繰り悪化原因の調査や資金調達を検討するにあたっては、さまざまな課題や問題が出てくるものです。
・必要な資金の調達が可能かどうかの判断がつかない
・資金繰りが苦しく、銀行などの金融機関への返済が厳しい
・借入過多、多額の税金滞納などがあり、資金調達が不可能に近い
・資金調達のための交渉がうまくいかない
・資金調達交渉をスムーズに進めるために必要な計画書等の作り方がわからない
・経営改善計画書を作るにあたり、窮境原因がはっきりしない
・窮境原因が把握できたものの、それに対する具体的な改善策が見つからない
・資金調達が成功した後、万が一返済が滞ってしまった場合どのような状態になるのか
このような悩みや問題が出てきた際に、専門家として的確なアドバイスや具体的な解決策を提示してくれることが、最大のメリットだといえるでしょう。
具体的なサポート内容例
基本的に次のような業務とも共通しています。
・資金繰りの適正化や改善、迅速な資金調達のサポート
・事業再生のサポート
・事業運営正常化のサポート
これらのサポートの中でも「資金繰り、資金調達のサポート」もしますが、それはあくまでも暫定的な対応でしかありません。
窮境状態に陥った真の原因追及をして抜本的に改善・改革をして収益構造を変えていくことが本来の業務です。
サポート内容はコンサルタント会社やコンサルタントによって異なりますが、ここで基本的な業務を具体的にご紹介しましょう。
資金調達や銀行融資に関するコンサルティング
資金繰りの相談で特に多いのが、赤字補填や、売上債権が入金されるまでに発生する諸経費の支払いのための資金調達に関する問題・課題です。
また、多くの中小企業は社債や出資による資金調達は難しいこともあり、銀行融資による資金調達が主となりますが、銀行と良好な信頼関係を築けない、資金調達交渉をうまく進められないという悩みを抱えているケースも多く見られます。
こういった問題や悩みを解消するため、資金繰りに精通したコンサルタントは次のようなサポートを行います。
・銀行からの資金調達をスムーズに進めるためのサポート
・金融機関との交渉に関するサポート
銀行融資に必要な書類の作成も支援
銀行融資に必要な書類というと「決算書」をイメージする方も多いと思いますが、実際には決算書だけでなく、併せて次のような書類の提出を求められるケースが少なくありません。
決算書
正式には「財務諸表」のことを指します。
決算書は企業の財政状態や経営成績を確認できる「通知表」のようなものであるため、金融機関は融資にあたって決算書を重視します。
コンサルタントは銀行の担当者の視点を考慮しながら、決算書の各科目でどのような修正が必要かを説明、アドバイスします。
試算表
試算表は、その期間中の業績推移や収益状況、財務状態などを確認するために作成される書類です。
決算書は年に一度作成しますが、試算表は期中の数字を確認できることから、決算後に毎月の収支状況、業績推移などを確認するため、金融機関側は通常融資審査にあたって試算表の提出を求めます。
資金繰り表
資金繰り表は、一定期間内における現金の収支を表にしたもので、通常は1ヶ月単位で記入・作成します。
収支の差がどの程度あるか、資金が不足している場合はどのように資金調達を行っているかをまとめた表といえば、分かりやすいかもしれません。
資金繰り表は、会社のお金がどのように回っているのか、資金の余剰や不足がいつ出るのかを見極めるのに役立つ書類であることから、資金繰りの改善に役立つだけでなく、融資にあたり金融機関から作成を指示されることもあります。
経営改善計画書
「資金繰りが苦しい」といった理由で銀行に融資を申し込む、リスケジュール(返済条件変更など)を申請するといった場合、金融機関から経営改善計画書の提出を求められるケースが多く見られます。
経営改善計画書は、金融機関からすると「具体的にどのような改善策を講じるのか」「改善策を実施した場合、本当に業績が改善されるか」「返済に問題はないのか」といった点を確認するための判断材料になります。
融資審査において大変重要な書類といえるでしょう。
金融機関から追加書類の提出を求められた場合、資金調達に余計な時間がかかり、資金繰りに悪影響を与える恐れがあります。
そういった事態を避けるために、資金繰りに精通したコンサルタントは融資に必要な書類を揃えるサポートを行い、スムーズな融資実行の実現を目指します。
経営改善や計画書の作成に関するアドバイス
資金繰りの改善には、迅速な資金調達で急場をしのぐだけでなく、資金繰りが悪化した原因を突き止め、原因の解消と経営改善を行うことが大切です。
そのため、経営改善に関するサポート業務にも対応しています。具体的なサポートには次のようなものがあります。
・決算書や資金繰り表などの資料から現状分析し、窮境原因を洗い出す
・経営者や経営幹部からのヒアリングを元に、具体的な経営改善策を検討する
・経営改善策実施のための実行プランの策定
・経営改善策を実行した場合の業績予想のシミュレーション
・経営改善計画書の実行と実績のモニタリングや比較検討
・銀行・金融機関へ提出する経営改善計画に関わる資料作成のサポート
資金繰りが悪化する6つの原因
苦しい資金繰りを解消する対策には「金融機関からの融資」「売掛債権を活用した資金調達」などがありますが、即効性が期待できる一方で、根本的な問題解決にはなり得ないという一面があります。
そのため、資金繰り改善には、まずは資金繰りが悪化した原因を把握することが重要です。
ここで、資金繰りの悪化を招く6つの原因をご紹介します。
資金繰りに精通したコンサルタントへの依頼を検討している方は、相談をスムーズに進めるためにも、以下の原因に心当たりがないか確認してみましょう。
1.業績悪化による売り上げ減少
資金繰り悪化の原因として真っ先に思い浮かべるのが、売り上げ減少により入金額が減少すること。
当然のことながら、毎月経常利益がプラスであり、適切な借入・返済が行われていれば、資金不足が発生することはまずあり得ません。
2.急激な売上増加
売上増加は、本来企業や経営者にとって何よりうれしい出来事です。
しかし、あまりにも急激な売上増加は、資金繰りの悪化だけでなく黒字倒産の引き金にもなりかねないため注意が必要です。
売上が急激に増加するということは「入金があるまでの期間、仕入れコストも増大する」ことにつながるからです。
大口の受注や契約がある場合は、入金までに資金が不足しないか、資金が問題なく回るのかを事前に十分検討することが必要です。
3.過剰在庫が発生している
過剰在庫が発生すると、原材料・仕入商品等先に支払っているコストが回収できないだけでなく、倉庫費用などの在庫の保管コストも発生するため、資金繰りに大きな悪影響を与えます。
4.売掛金回収と買掛金支払のバランスが悪化している
売掛金回収と買掛金支払のバランスに大きなズレがある場合、売上が積み上げれば積み上がるほど、資金繰りが悪化してしまいます。
たとえば、「仕入れた商品の支払いが30日後であるのに、商品の売掛金の回収が90日後」といった場合、資金が回らなくなるのは当然です。
円滑な資金繰りを考える場合「入金までの期間は短く、支払いまでの期間は長く」が基本となります。
5.無理な利益配分
十分な利益が出ていないにもかかわらず、株主配分や役員報酬が多すぎる場合、資金切りが悪化するのは自明の理です。
役員報酬は前年度の利益率などを考慮して利益に見合った適正な水準に収め、株主配分も利益を食い潰さない範囲内で行うことが大切です。
当然、利益がでていない場合は株主配分を行うべきではありません。
6.資金繰り状況を正しく把握できていない
そもそも「資金繰りとはなにか」「資金繰りの現状を把握できていない」という理由で、資金繰りの悪化を招くケースも決して少なくありません。
最低でも、資金繰り表の作成・管理を行っていれば「資金の流れを把握していない」といったことは防げるはずです。
資金繰りに精通したコンサルタントは、効果的な資金繰り表の作成や管理の方法などもレクチャーしていますので、資金繰りの状況把握に不安がある場合は、ぜひ相談すると良いでしょう。
資金繰りに窮し元本据置の条件変更を依頼する場合に必要になる計画書が 『経営改善計画書』と言われている計画書です。
売上高が伸長することで仕入資金が必要、もしくは設備投資等で資金が必要という様に前向きな資金需要(資金調達)が必要な場合には『中期経営計画書』という様な計画書の作成が必要になります。
従って、『経営改善計画書』と『中期経営計画書』とは性格が相違します。
会社の適正な現状把握をして、「経営計画書」を作成し、資金調達すべきか、借入せずに返済元金棚上げによるリスケジュールを「経営改善計画書」を作成して依頼すべきかを経営判断する必要があります。
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