前回のメルマガでは、
小職が事業再生に携わった企業で毎週会議を開催し、
議題は不変であり、前回は議題『損益報告』について
どの様に建設的に物事を進めたかをご報告させていただきました。
今回は、議題『生産・出荷状況報告』について
どのように建設的に会議を進めたかをご報告させていただきます。
部品ごとに損益含め管理をしていく、ということを前提にしました。
部品ごとに管理をしていく、ということは、
部品ごとに作業日報(作業報告書)の精度を向上させ、
部品ごとに時間当たりの出来高、不良数、不良率、
不良要因等が把握できる様な体制を構築したということです。
各ラインごとに1日当りの出来高、不良数、不良率、
不良要因等が把握できるようにし、
毎週木曜日に会議を開催しておりましたので
1週間分のデータを積み上げ各ラインごとに
計表化(グラフ化)をしました。
グラフ化することで、『目で見る管理』ができるようになりました。
部品ごとの出来高、不良数、不良率も重要ですが、
最たる重要ポイントは不良要因だと思います。
何故、不良が発生したか、どんな要因で不良が発生したか、
を明確にする必要があると思います。
余談になりますが、
トヨタ生産方式は目で見て問題がはっきりしない場合は、
『5回のなぜ』を繰り返して、
原因の向こうに隠れている『真因』を突き止めるという、
きわめて科学的な態度を積み重ねてつくり上げられてきた、
と言われています。
『問題を顕在化』させたうえで、『5回のなぜ』を繰り返して、
『真因』を突き止め、現場の方々の知恵によって改善を施す。
問題が起きた時こそ改善のチャンスと捉える
前向きな取り組みを行っています。
トヨタ生産方式はただ単に改善することを
目的にしているのではなく、
改善を行える人を育てることを目的としていのです。
同社も『5回のなぜ』を繰り返して『真因』を
突き止める努力をしました。
不良要因が材料要因である場合は、
高炉メーカーにもその旨、報告をして一緒に検討をしてもらい、
サンプル材をつくっていただきトライを繰り返す。
不良要因が金型要因である場合は、
次回の生産までにメンテナンスを施す。
不良要因が人的要因である場合は、
誰が作業をしても不良を発生させないような仕掛けを講じる。
というようなことを繰り返し実施していきました。
当初は、各ラインごとの不良率が5.0%超あったこともありましたが、
上記のような対策を地道に講じることにより、
0.3%以下にまで改善させることも出来ました。
改善が進むようになるとパーセント管理ではなく、
PPM管理を導入するようにもなりました。
ちなみにPPM管理とは、
1,000,000個生産して1個の不良が1PPMとなり、
0.0001%ということです。
当然、新規部品の立ち上げ時は、通常不良率も高騰しますが、
何時までに、誰が、どのような対策を講じるかを
タイムスケジュールをつくり毎週開催される会議にて
進捗状況を参加メンバー全員で共有するようにしました。
その結果、不良率が低減し、チョコ停が低減し、
稼働率がアップすることで、製造原価を低減することができました。
製造原価が低減できれば、
売上総利益(粗利益)が増額する訳ですから、
営業利益も増額するということになります。
要は、『臭いものに蓋をせず、どうすればよいか』を
現場の方々の意見を尊重してタイムリーに
実行していくことが重要だと思います。
何を改善すればよいかを一番把握しているのは
現場の方々だと思います。
現場の方々の意見を尊重することでやる気、
モティベーションアップにもつながるのではないでしょうか。
小職でよろしければいつでもご支援させていただきます。