神崎和也コンサルタントコラム

やっぱりおかしい銀行さん

事業再生コンサルタントという職業に就くまで、
私は比較的大きな事業会社で営業管理や企画の仕事に携わっていました。

しかしこの業界のコンサルタントは金融機関出身の人達が非常に多く、
難しい金融用語や業界用語が飛び交い、
なにやら難しい事ばかりしゃべっているように思え、
『へぇ~、みんな凄いなぁ~』って感心していました。

私はフランチャイズ関係の仕事をしていましたので、
FCオーナーの開業支援、資金調達、
また不幸にも廃業される方のお手伝いもしてきましたが、
金融機関との直接の交渉と言うのは少なかったのです。

その私がこの職業に就くことになってから、
銀行の応接室が第二の職場と言っても
おかしくないくらい頻繁に訪れる事になるなんて、、、
人生って面白いですよね。

慣れてくれば、殆どのコンサルタントや銀行員は
金融用語や業界用語を使う事で、あまり内容の無い話を
ことさらややこしくしてるだけと言う事に気が付いてきました。
また、以前『ギントリ』ノ巻でも書きましたが、
銀行との取引が如何に一方的に銀行側に有利になっているかを痛感しました。

今回は、毎日、毎日、銀行員様とお話しをさせていただいている
金融機関出身では無い、ごく普通の感覚を持った私が
『アレ、なんかおかしい!』って思った事を書かせていただきます。

それを誰が持っているのか、全く同一の物が所有者が違うだけで
価値が変動する物ってご存知ですか?
例えば、20ドル札は私が持っていても、
世界一の大富豪ビル・ゲイツ様が持っていても
それは20ドルの価値を持っていると言う事で等価ですよね。
貨幣に限らず、貴金属、有価証券等、換価できるものは、
基本的に所有者により価値が変動する事はあり得ません。

でもたった一つだけあるんです。
見つけたんです、この私が、、、、

そうです、あの忌々しい『約束手形』って奴です。
正確に言えば、期限到来前に割引する場合ですが、、、

ある会社は商品(製品)を販売し、その代金を手形で受取りました。
弊社のクライアントには、その手形を期日まで手元に持っておけるほど
資金の余裕のある会社はほとんどありません。
というか中小企業は皆同じような状況でしょう。

一般的にメインと言われる銀行に、
割引料を払ってその手形を割ってもらい資金化していますよね。

でも、その会社がリスケをしたり、延滞をしたりして
債務者区分が変わったりしたら大変です。 
殆どの銀行は、手形を割ってくれなくなります。
先月まで、何年もごく当たり前のように割ってくれていた
上場企業の手形ですら割ってくれません。
手形を振りだした企業の業績や信用が全く変化していなくてもです。

困った社長はその手形を市中で高い割引料を支払って割るしかありません。
この時です。ある会社が振り出した『約束手形』は
それを受取った企業の信用状況により割引料が変動するため、
実質的な価値も変動するのです。

これはおかしい! 許せない!

義憤に駆られた私は、金融機関出身の同僚に詰め寄りました。

『先月まで割ってくれていた会社の手形が、何で割ってくれへんねん。
先方の信用状況が変化してへんねんから、誰が持っていって同じやん!
ちょっと2カ月延滞したからってそこまでせんでもええやろ!』

金融機関出身の同僚は、眼鏡をキラリンと光らせ、
私を小馬鹿にしたような口調で言い放ちました。

『Kさん。
 残念ながら、あなたは金融機関出身じゃないから知らないでしょうが、
 手形割引って一種の与信行為なのですよ。フッ(冷笑)』

なんで手数料を取られて割り引いていただく事が与信行為やねん。
満期日になってないから利息を取られるのは解るけど、与信行為ってなんや!
銀行はリスク無いやんけ!

『ギントリ』を調べてみました。
愛用の虫めがねで、、、、、、

第六条辺りにありましたね。
『買い戻し特約』って奴が、、、

『割引依頼人(会社)の信用状況が悪化した場合には
 たとえ満期日前であったり、手形の支払が不確実になったと
 言えなかったりしても、割引依頼人は割引手形を買い戻す義務が生じる。
 銀行はこれによって生じた債権と割引依頼人が有する預金債権を
 相殺することで債権を回収出来る。』

なんやねんこれは! やっぱり銀行はえぐい!
こちらの信用状況が変化したら、手形を割ってくれないばかりか
下手したら強制的に買い戻しさせられるってことやで!

もう無茶苦茶ですね。
銀行で割るより市中で割る方が手数料が高くて、
当該企業の資金繰りがより悪化するのは目に見えているのに
経済合理性は全くありません。

もう一つは信用保証協会の保証料ってやつです。

金融業界以外の普通の世界では、受益者が費用を負担します。
簡単にいえば、掛け金を支払った側が保険金を受取りますよね。

でも天上界であらせられる金融界にはこの常識は通じません。

お金を借りた側が保証料を支払い、
返済できなかった場合は保証協会が代位弁済する。
借りた側からすれば、
相手が銀行から保証協会に変わっただけで借金は一円も減っていません。

『おかしいやろ銀行! ほんだら自分で保証料払えや!
 そうと思えへんか、Mさん。』

金融機関出身の同僚は横目で私を睨み、強い口調で言いました。

『Kさん。保証料は保険料とは違いますよ。
 何か勘違いされてませんか?
 保証協会なければ
 誰がこんなボロ会社にお金を貸すんですか。フッ(冷笑)』

保証協会付融資と言うのはとてもこんな会社に貸すことは出来ないが
なんとか利息だけは欲しいと考えた銀行が、中小企業に勧めるものです。

本来、企業の業績や内情をしっかり調査し、
自らリスクテイクする事で利益を上げていくのが金融業のはずですが、
この国の甘ったれた銀行は少し考え方が違うようです。
昔貸したプロパー融資を『モラトリアム』を口実に
『リスケをすれば、債務者区分が下がりますよ。
 幸い御社は保証協会の枠が残っているので借り換えしましょう。
 これなら通常先のままですから、、、、』
とかなんとか言って保証協会付融資にしようとしている
モラルの低い銀行がどれだけいるか。

弊社に御相談に来る企業様のB/Sを見ていれば、
総資産8,500万円(内現金6,000万円)とか、
総資産6,000万円(内保証金4,500万円)とか
『僕のお父さん百億万円持ってる』『僕の家には150インチのTVが5台ある』
レベルの粉飾とも言えない香ばしいB/Sがたまに見かけられます。

そして驚くべきはその決算書で融資を受けたりしてるんですよ!
当然保証協会付で。

お願いです。銀行さん。もう勘弁して下さい。
法人税を10年以上払っていなくても、
世間よりグッグッ~と高い給料を行員に払っている事はもういいです。
一流大学を出たエリートの皆様ですから
それは仕方ないと我々庶民はもうあきらめています。
でも、気が付いていらっしゃらないかもしれませんが、
保証協会と言うのは我々国民の税金で運営されているんです。
もう許して下さい。これ以上喰いものにするのは、、、

涙でディスプレイが曇ってきましたのでこの辺にしときます。

金融機関に煮え湯を飲まされた社長、
なんとかもうひと花咲かせましょう。
勝負は自分で『負けた!』と言うまで本当の『負け』ではありません。

七転び八起きはちょっと辛いですが、
三転び四起き位は一緒に頑張ろうではありませんか!

 

関連記事

  1. 神崎和也コンサルタントコラム 猫も杓子も借金してまで大学に行って何をどうする
  2. 神崎和也コンサルタントコラム シルバーデモクラシー!?
  3. 神崎和也コンサルタントコラム 歓迎光臨 マイナンバー
  4. 神崎和也コンサルタントコラム さぁ中小企業の皆さん、便乗値上げの時がやってきたぜ!
  5. 神崎和也コンサルタントコラム あぁ、、、人とはいかに小さきものなのか!
  6. 神崎和也コンサルタントコラム 『みんな』と『ふつう』 数字で見なけりゃわからない。
  7. 神崎和也コンサルタントコラム 『選挙無効判決』を真摯に受け止め、民主国家確立を提案する
  8. 神崎和也コンサルタントコラム トマ・ピケティの「21世紀の資本」書評
PAGE TOP