神崎和也コンサルタントコラム

トマ・ピケティの「21世紀の資本」書評

『 Return is greater than Growth. 』 もう少し正確に言えば、
Rate of return on capital is greater than the economic growth rate.
そうです。最近誰でも知っているピケティさんで有名な『r>g』の事です。

『資本収益率が産出と所得の成長率を上回るとき、
資本主義は自動的に、恣意的で持続不可能な格差を生み出す。』
と帯にも書いてあります。

でも、世間の噂を聞き、
書店で初めてこの本を手に取った時の私の正直な感想は
『なんや、噂ほど分厚ないな。』でした。
パラパラとページを繰ってみても、フォントもあまり小さくないし
2段組みになっている訳でもなく、活字中毒の私にとって、
吉野家牛丼に例えると、決して特盛ではなく、
精々あたまの大盛りレベルの本でした。

とはいえ、私もコンサルタントの端くれですので
取り敢えず目を通しておこうと買い求め、サラッと読んでみました。

多くの解説本が出ているし、今更この本に書いてあることを
どうこう講釈を垂れるつもりもありませんし、
私にはその知識もないくらいは自覚しています。

でも結構面白いなと思ったのは、
その文中に頻繁に文学作品からの引用がある点です。
例を挙げれば、オノレ・ド・バルザックの『ゴリオ爺さん』
『セザール・ピロトー』、ジェイン・オースティンの『分別と多感』、
ヘンリージェイムスの『ワシントン・スクエア』等々、
昔読んだ懐かしい文章が次々に浮かんできます。

特にバルザックの小説群『人間喜劇』は良かったなぁ。
(前出の2作品は人間喜劇に含まれる。)
初めてバルザックを読んだのは確か小学4年生の頃だったと
記憶していますが、当時は文中に出てくる『100リーブル』とか
『10フラン』とか全く実感の湧かない貨幣単位に戸惑い、
また、お金の話がよく出てくる小説やなぁ、
バルザックさんて結構セコイ?なんて思っていたくらいです。

しかしピケティさんのこの本を読めば、
18世紀から20世紀初頭にかけては、誰もが、
1英ポンドが5ドル、20マルク、25フラン位なのを知っていたと解ります。

お金の価値と主要国間の為替レートは何十年も変わらず、
それが将来違ってくると考えるべき理由など、
誰も持ち合わせていなかった、とさえ書かれています。

だから18世紀、19世紀の古典文学にはお金が至る所に登場する。
しかも抽象的な力としてのみならず、
何より実感できる具体的な量として登場させることにより、
その登場人物の社会的な地位や生活水準を
読者の頭に印象付けたと言う事らしい。

でも20世紀の日本に住む小学4年生が、
1リーブルって円に換算したらどれくらいなんだろうと想像し、
いろいろな小説の中に書かれている当時の物価を
基に推測していましたが、
この本を読めば現在と18、19世紀の欧米では、
本や楽器、舞踏会用ドレスなどの所謂贅沢品価格において特に乖離が激しく、
最低限のドレスでも当時の平均所得の数年分するということなので、
当時の私に解るわけもありません。

今の日本みたいに、若者に職が無い不況だとか言っている割に、
マックジョブを一か月頑張れば海外旅行に行ける、
一週間でドレスが買える時代に生きていると
ヴォートランやラスティニャックの気持ちや生活は想像できません。

しかし、このピケティさん。
18歳でパリ港と師範学校(ENS)に進学し、
その後経済学に興味を持ち、22歳でMITの助教授って、
パリパリの経歴ですよね。

その限られた時間の中で、古典文学にも親しみ、
数学者でもあるらしいので、
我々一般市民の理解力の無さには辟易としているのでしょう。

いや、なんでこいつら(一般人)こんな事も解らんねん、
意味解らん。ラッスンゴレライ状態なのでしょう。

この本を読めば、彼のそんな心理状態もよく解かります。
一言でいうと、『くどいねん!ピケティはん。
同じことをグダグダと、、、そこまでわいらアホやないで。』
それに索引と原注、図表一覧の多さ。
それだけで98ページもあるやんけ!

よくよく考えてみると、
この本はインテリ向けの『なんとなく、クリスタル』みたいなもんやで。
田中康夫がいちゃもん付けてくるかもしれへんから気を付けやピケティはん。
康夫くん、最近暇みたいやし、、、、、、

次回、『実録 r>g』をお楽しみに。

 

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