ターンアラウンド・エキスパート事業再生家・洲山のもと、
日々クライアントの背中をサポートしている喜望大地経営の宮内です。
大阪本部に在籍し、東は岐阜から南は沖縄まで、
25件のクライアント様のターンアラウンドを実践すべく日々奮闘しています。
今回は、再生の現場からのエッセイです。
早速ですが皆さん、「銀行はコワい」ですか?
もっと言い方を変えれば「本当の事を相談できますか?」
ほとんどの経営者は「コワい」と思い「本当の事」を話せない状態だと思います。
では何故本当の事を話せないのでしょうか。
それは「本当の事を話すと銀行が何かしてくるかも知れない」
という恐怖心又は猜疑心だと思います。
「銀行が色々な資料を提出しろと言っているが出してもいいのだろうか」
「もしかして回収を考えているのでは」
「でも出さないと変に疑われるのもコワいし・・・」
そうこうして日が立つと
「社長には誠意がない」「こんな資料も出来ないのですか」
という厳しい言葉が飛び交い、企業と銀行の関係は悪化するかもしれません。
社長は決して誠意が無いなどとは思っていないのに・・・
つまりこれは銀行と企業の「情報の非対称性」のなせる技です。
経済学では、市場における各取引主体が保有する情報に差があるとき、
その不均等な情報構造を情報の非対称性 (asymmetric information) と呼ぶ。
情報の非対称性は、人々が保有する情報の分布に偏りがあり、
経済主体間において情報格差が生じている事実を表している。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
銀行は簡単に言えば、
「金融検査マニュアルに基づき、正常債権と認定される融資を実行しよう」
と心がけています。
又通称「ギントリ」という銀行取引約定書という
融資の際に締結される基本約定に基づいて取引を行います。
しかし、企業の皆さんはこれを見た事があるでしょうか?
私の感覚では99%の社長様は読んだ事がないでしょう。
又、はっきり言って銀行は「読んでほしくない」のです。
だって、「情報の非対称性」があれば自分達が有利だからです。
銀行にとって、このあたりを勉強された金融知識が豊富な方には、
金利は上げにくい、追加担保は取りにくい、
つまり何かと交渉しにくいのです。
しかし、かつての銀行員は情報の非対称性を埋めて、
円滑に企業と銀行を繋げるのが仕事で、
非常に丁寧に対応していたと思います。
私が銀行の渉外役席時代、
業績悪化が懸念されるお客様には以下のような対応をしていました。
1.「業績懸念」のサインを受け取る。
例えば、普通当座預金の動きが変わった。定期積金の入金が遅れがち。
社員が退社した。業界からの風聞等々
2.こっそり抜き打ちで訪問。事務員さんにそれとなく話しを聞く。
ホワイトボードの予定を見る。事務所工場の整頓具合。
在庫の状況等々をそれとなくウォッチ。
3.その上で単刀直入に社長に「本当の事を話して下さい」と切り込む
私の場合直球勝負が持ち味でしたので、
ハッキリと本当の事を言っていただくようお願いしていました。
決めゼリフは
「社長、必ずエエようにします。
本当の事が判らないと絵が描けないじゃないですか!!」
自分で言うのも何ですが、
社長が知られたくない事(企業経営には言いたくない事は色々あるものです)は
支店長や本部に伏せつつ、又融資の不良化にならないように、
他行の取引も考えて条件変更、追加融資を行っていました。
しかし、現在の銀行は統廃合が進み、かつ金融検査が厳しくなった為、
このような融資に係る重要情報の媒介役を務める銀行員が
少なくなっているような気がします。
(やたら決算書等の数字資料とにらめっこです)
では皆さんどのように銀行に対応していけばいいでしょうか?
情報の媒介役を務めてくれる銀行員がいなければ、
社長自身がその溝を埋めなければなりません。
・金融庁HPの金融検査マニュアル、金融円滑化法を読んでみる。
・自分がサインした書類の裏まで目を通す
(まぁ、難解な言葉を小さな字でびっしり書いています)
それでも不安な社長様には、弊社のような専門家にご相談するのも良いでしょう。
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(大阪本部 常務執行役員 宮内 正一)