宮内正一コンサルタントコラム

天下の悪法!!「連帯保証人制度」が変わるかも・・・

中小零細企業の事業再生に携わって早や幾歳。
様々な態様の事業再生に関わらせていただきました。

自分で言うのも何ですが、クライアントの皆様には、
それなりに評価されていると勝手に思い込んでいます。

しかし、クライアント様のご期待に対して、
対応が難しい事案があるのも確かです。

特に法律的な問題について、相手は法律ですから、抜本的な解決というより、
ソフトランディングせざるを得ない事もあります。

しかし、その中でも、「これは絶対おかしい!!」と思う法律。
その代表格は、「日本の保証人制度」です。

世界でも稀な悪法と言われる制度ですが、どれだけ恐ろしいものか、
クライアントの事例は出しにくいので、私の実体験で説明します。

私の父は大阪で小さな町工場を経営していました。

社員というか職人さんが多い時は10名ほどいたでしょうか。
経済の成長期にも支えられ、それなりに良い時期もあったようです。

ところが突然、取引先の倒産で4000万の不渡り事故が発生しました。
町工場にとっては、事業存続の一大事です。
幸い当時のメインバンクから、支援の申し出がありましたが、
問題はその条件です。
条件とは当時二十歳の大学生であった私を、保証人に入れる事です。

父 「ちょっと悪いけど銀行の書類にハンコおしてくれや。
   どうせお前が跡取りやからな」
・・・銀行に言われるがままの要求を、私に伝えました。(;一_一)

私 「ええよ」と気軽に返答したのは、何も知らない学生だったからです。

ところがこれを知った母が「まだ学生の息子を道ずれにする気か!!」
「保証人は借りたあんたと同じ責任があるんや」と猛反対。
(母は保証人のリスクを良く理解していました・・エライ(^。^)y-.。o○)

結局、私が保証人に入らず、何とか資金調達には成功し、窮地を脱しました。

ところが、その数年後、又も大きな不渡りを掴まされた父は、
事業を大幅に縮小、結局さらに数年後には事業閉鎖に追い込まれました。
残念ながら全債務を返済する事はできませんでした。

さてこの場合、私が保証人であればどうでしょうか?
経営に関与した事も無い20代の若造が、過大な保証債務を背負う訳です。
もしかしたら「破産」を選択したかも知れません。

今でもこの時の事を思い出すと、うすら寒い思いがします。
「あの時俺が保証人に入っていたら、間違いなく人生真っ暗」、
少なくとも今の私は無いと思います。

そもそも生計を一にする妻や子供を保証人にして、
銀行も一体何の得があるのでしょうか。
万一の際、回収金額が増える見込なんてほとんど無いにもかかわらずです。

しかし未だに、私のクライアントに対して、
金融機関から「息子」や「嫁」を保証人に入れろ、
という要求をかけてくる事があります。

私はクライアントの社長に、
原則として「絶対拒否」をアドバイスするようにしています。

ところがこの天下の悪法も、潮目の変わる空気があります。

「中小融資の個人連帯保証を経営者に限定、金融庁」 2011/2/28 日経新聞

見逃しそうな小さな記事が、新聞の隅に載っているではないですか。
(もっと大きく載せるべき大ニュースと思うのですが・・・)

元々民主党の政権交代マニュフェストには、この問題が記されています。

○自殺の大きな要因ともなっている連帯保証人制度について、
 廃止を含め、あり方を検討する。「民主党の政権政策Manifesto2009」より

子供手当、高速道路無償化等々 出来もしないマニュフェストで、
ほとんどの国民はウンザリモードだと思いますが、
保証人制度改革には、政権も前向きに動き出したようです。

もう少し詳しく見てみましょう。
平成23年2月28日付金融庁発表の抜粋です。(HPより)

金融庁では、「主要行等向けの総合的な監督指針」、
「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」及び
「金融検査マニュアル」の一部改正(案)を
別紙1~3のとおり取りまとめましたので、公表します。

○経営者以外の第三者による個人連帯保証等の慣行の見直し
経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めないことを
原則とする融資慣行を確立し、
また、保証履行時における保証人の資産・収入を踏まえた対応を
促進するため、監督指針に新たな項目を追加するとともに、
金融機関に対して、次の対応を求める。

この見直しによって、今後金融機関は、
経営者以外の第三者、奥さんや子供に対して、
追加保証人を要求する事が難しくなっていく方向と考えられます。

更に言えば将来、現在の第三者保証人を外す事ができる可能性も、
期待できるかもしれません。

少なくとも今後、銀行から第三者の追加保証人を求められた場合、
新しい金融検査マニュアルを武器に、
堂々拒否する交渉が可能になるでしょう。

このニュース。
是非中小零細企業の社長に知っていただきたく、
コラムにさせていただきます。

全国24時間受付

無料相談はこちらから

お気軽にご相談ください

関連記事

  1. 宮内正一コンサルタントコラム 先生やから何でも判るハズ…は間違い、の巻
  2. 宮内正一コンサルタントコラム 不渡りは倒産ではありません!
  3. 宮内正一コンサルタントコラム 半沢直樹を斬る
  4. 宮内正一コンサルタントコラム 当たるも八卦、当たらぬも八卦?宮内の来年度予測の巻
  5. 宮内正一コンサルタントコラム 社長はみんな知っている!の巻
  6. 宮内正一コンサルタントコラム 中小企業金融円滑化法の最終延長を踏まえた中小企業の経営支援のため…
  7. 宮内正一コンサルタントコラム 久しぶりに見たよ!『超男前の銀行員!』
  8. 宮内正一コンサルタントコラム そろそろ保証人から外してよ大作戦の巻~(^^)/
お問い合わせ

PAGE TOP