同文館出版の「小さな会社のための正しいリスケの進め方」に続き、
「月間銀行実務」「納税通信」等にも寄稿していますので、
そちらもご縁あれば宜しくお願いします。
さて今回は、中小企業の社長にとって、
「銀行員から聞く最も嫌なコトバ」についてのお話です。
融資を断られる際の常套句といえば、「支店はやりたいんですけど本部が…」
というのが最もポピュラーではないでしょうか。場合によっては
「金融庁の指導もあって…」と言われた方もいるかもしれません。
私も銀行卒業後、借り手側の人間として銀行から聞かされた事があります。
正直腹の立つ言葉です。
「だったらお前ら支店は何なんだよ!」
「支店はただのメッセンジャーホーイかい!」
と、ハラを立てても仕方ありません。
結局支店は、本部から稟議決裁を取らないと
融資は実行されませんし、本部といえば金融庁の監督指針に沿って
融資案件の可否を決定しているのが現実だからです。
となると、金融庁が各銀行にどんな指導をしているかが気になる所です。
つい最近(平成23年8月26日)、金融庁は
「平成23年事務年度 中小・地域金融機関向け監督指針」を発表しました。
前回ご紹介した連帯保証人の問題や、
東日本大震災関連も大きく具体的に取り上げられていますが、
私から見て今後、中小零細企業経営に
最も影響を与えそうな部分を抜粋します。
1.「借手企業が経営課題を認識した上で経営改善、
事業再生等に向けて自助努力できるよう、積極的に
コンサルティング機能を発揮しているかについて重点的に検証する」
2.「中小企業金融円滑化法に基づき、(中略)実現可能性の高い
抜本的な経営再建計画の策定や抜本的な事業再生等に向けた
積極的な支援を行っているか」
二つを抜粋しましたが、要は金融機関が金融庁の検査を受ける際、
このあたりを厳しくチェックしますよ、
という金融庁の姿勢が示されています。
特段大幅な路線変更があった訳ではありません。
しかし、金融機関の人間ならこの指針の意味はこう理解するはずです。
「徹底的に融資先の経営に口を出せ!って本部は支店に指示してくるなぁ~」
「今以上に社長が嫌がる資料をあれこれ出せって、言わなあかな~」
「ちゃんと資料出せへんお客さんは、来年から不良債権入りになるな~」
そうです。
この1,2年、リスケや赤字補てん資金の融資に頼ってきた中小企業にとって、
厳しい局面が始まるのが今回の監督指針のポイントです。
「エライ簡単にリスケしてくれた」
「1年前、保証協会付融資がすんなりおりた」
…そんな過去の経験則は今後通用しないとないと思うべきです。
具体的な経営改善計画の策定の無い会社、
計画はあっても実行が伴っていない会社、
特に注意すべきは、既にリスケを実施している中小企業で、
期日が近々到来する場合です。今年終盤から来年にかけで、
銀行担当者からの突っ込みは確実に激しくなります。
では、中小企業はこのような銀行の姿勢に対して、
どのような対応を取ればいいのでしょうか?
答えは明確です。
「実現可能性の高い経営改善計画を策定し、実行していくのみ」です。
しかし、ほとんどの中小企業経営者は
具体的な経営計画を作った事がありません。
ましてや、銀行が納得する計画がいかなるものかも知りません。
身近なプロとして、税理士の先生がいらっしゃるでしょうが、
彼らの多くは税務のプロであって、
一部を除いて銀行対策のプロではありません。
クライアントによくお話します。
「虫歯を治す為に眼医者に行く人はいません」
「風邪は自分で治せても、肺炎を自分で治せますか?」
「事業再生も同じです」
「その道に通じたプロに頼むべきです」
「まずは自分で銀行対策や経営計画立案方法を勉強する」
という姿勢の経営者の皆さん。
最も理想的な解決方法です。是非頑張って下さい。
拙著がお役に立つと思います
⇒ http://www.amazon.co.jp/gp/product/4495593412/
…商売気出してすみません
しかし、どうしても時間が無いという経営者の皆さん。
専門家に相談するのも一つの手段です。
「知らない」という事は恥ずかしい事ではありません。
「知らない」「判らない」という事を、
放置する事の方が経営者として問題です。
事業再生のコンサルティングは、当社だけが手掛けている訳ではないので、
縁のある方がいれば是非相談してみましょう。
しかし、そんなご縁の無い方、「プロに頼むといっても敷居が高い…」という
皆様に対して当社は、執行役員による「無料面談」を用意しています。
多くの経営者が、無料面談だけで問題を解決しています。
…当社は商売になりませんが、これもご愛敬です…
是非お気軽にお声かけいただければと思います。