突然ですが事業再生のプロは、銀行情報に明るくなくてはいけません。
ほとんどの場合、銀行の理解が再生に必要だからです。
とはいえ、いつも銀行さんと「仲良しこよし」でも、
事業再生の仕事は務まりません。
まぁ私の感覚では、「銀行と協調する」、「時には激しく応酬する」、
「ぼちぼち付き合う」のが5対3対2というところでしょうか。
という関係ですので、親しい銀行支店長と
夜の一杯でコミュニケーションをとりつつ、
銀行現場の情報を入手する事は大変意味があります。
…実は飲み会が好きなだけとも言われていますが…
最近の支店長連中の話題と言えば、
「金融円滑化法はいよいよ来年3月で終わりやな~」
「お客さんの格付けどないしよ」
「本部がボチボチうなり出してる~」が大半を占めます。
金融庁は円滑化法の再延長は無い、と力説していますし、
場合によっては「顧客企業の廃業」も視野に入れろ、
という指導もしていますから支店長連中も頭を抱えているのが現状です。
最近某支店長に
「中小企業経営支援のための、政策パッケージというんが出たやん。
あれどない?」
と誘い水をかけたのですが、支店長は苦い顔。
どうも支店現場は冷めてる?という感じでした。
…どの銀行かは名誉の為に伏せます。
という事で、私なりに当局(内閣府・金融庁・中小企業庁)が発表した
「中小企業金融円滑化法の最終延長を踏まえた中小企業の経営支援の
ための政策パッケージ」を理解したいと思います。
内容は以下の3点です。
1.金融機関によるコンサルティング機能の一層の発揮
…外部専門家・保証協会・中小企業団体と連携せぇよ~。
集中的に顧客からヒアリングせぇ~。etc
…要するに「銀行員頑張れ~!」「責任はお前らが取るんやで~」
と書かれていると理解しました。
2.企業再生支援機構及び中小企業再生支援協議会の機能及び連携の強化
…代表的な機構と協議会を活用しなさい。
という今まで通りの事を頑張れ?って事かな。
…私の知る限り、相当大きな中企業は兎も角、これら公的機関が、
小企業や零細企業を相手にする事はありません
3.その他経営改善・事業再生支援の環境整備
…専門家を使えよー、ファンドを設立せぇよー、DDSを活用せぇよー、
そして「頑張れ!」と書いてあるように感じました。
少々批判的と思われるかも知れませんが、
元銀行員としては「支店長などの現場に頑張らせて、
リスケ先の企業を正常返済できるように指導せんかい!!!!」と
当局が銀行本部に指示しているだけにも感じます。
私が一緒に飲んでた支店長も、
「こんな指示が当局や本部から下されても、どないせぇっちゅうねん」
「結局責任は俺らかい」という気持ちになっているのではないでしょうか。
しかし、本当に苦しいのは銀行支店長ではありません。
リスケ状態から脱却出来ない中小零細企業の社長です。
しかし、この政策パッケージから、はっきりする事があります。
それは、「中小零細企業は、人任せでは再生できない」という現実です。
「今回はえらい冷たいメルマガやな~」と思われる方も
いらっしゃるでしょう。
しかし、経営を預かる、社員の雇用を預かる、
取引先の信頼を預かる社長は、現実を直視する必要があります。
現実を直視した結果、少しでも問題があれば、是非専門家にご相談ください。
政策パッケージでは、銀行も専門家を使えと書いている位ですから、
何ら恥ずべき事ではありません。
大事な事は社長の会社が存続していく事ですから。