早速ですが、事業再生のプロに必要なスキルの一つとして、
不動産スキルがあげられます。
日本の銀行はほとんどが担保主義…担保がなきゃカネは貸さない…わけですが、
中でも大部分の担保が不動産になっているからです。
弊社に相談に来られるクライアントの皆さんは、
経営状態に何かしらの問題がある為、
場合によっては担保不動産の売却による銀行返済が必要になります。
実は私、16年の金融機関勤務の後、不動産系のお仕事に携わっておりました。
その間約6年、直接関与した不動産売買額はざっと、ん100億円!ですから、
事業再生の次に得意としているのがこの分野です。
さて、本第です。
弊社にお越しになる方々の大きな勘違いの一つは
「不動産は銀行に担保を取られているから、
売りたいと思っても何もできない…」
という誤解を持たれている方がいます。
しかし、よく考えて下さい。ちょっとおかしくないですか?
銀行は不動産を担保にとっている=(根)抵当権を設定しているだけです。
所有権が移っている訳でも何でもありません。
「銀行に取られている」というのは、甚だしい誤解です。
整理するとこうなります。
1.不動産を売る売らないを決める、どんな条件で売るかを決める、
のはあくまで持ち主
2.抵当権者=銀行は、売却時に(根)抵当を抹消するかしないか、
の権限を持つだけ
例えば銀行が抵当権の抹消に応じなくても、買い手がその事情を了解すれば、
売買も所有権の移転も成立します。…現実には難しいですが…
不動産売却を嫌がる持ち主に対して、銀行が強制的に売却するには、
競売しか方法が無いと思って下さい。
しかも競売は、時間が1年前後もかかる為、
銀行としては持ち主による「任意売却」を希望するのが一般的です。
1.担保不動産を売却する事を決定できるのは、原則持ち主
2.銀行も持ち主による任意売却を望んでいる
という事であれば、売却活動は持ち主が有利な形、
「任意売却」で進めるべきでしょう。
しかし悲しいかな、中小零細企業の社長に、
不動産売買のノウハウに精通している方はあまりいらっしゃいません。
となると、不動産業者に売却の仲介を頼む事になりますが、
「信頼出来る業者を知らない」
「知らない不動産屋さんに、いきなり頼んでも大丈夫だろうか?」
という心配ごとも発生します。
更に不動産売却には、個々個別の事情を斟酌した売り方があるものです。
・他人に知られず売却したい…売却活動を知れると近所に恥ずかしい
・事業に欠かせない工場だから、売却しても工場として使い続けたい
・先祖伝来の土地だから、出来れば親類に所有してもらいたい
・どうせ売るなら、今後自分の事業に役立つ人に買ってもらいたい
・銀行に納得してもらって、売却金額の一部を別の支払に充てたい
・売却に係る経費は最大限引いてもらいたい
・売却後の税金対策は万全にしておきたい etc
諸々書きましたが、これらの事情を銀行が、
親切に考慮してくれるとは限りません。
ですから持ち主=売主は、理路整然と銀行に主張すべきは主張し、
有利な売却を目指すべきでしょう。
弊社は事業再生専門のコンサル集団ですが、不動産売却や有効活用、
それらにまつわる税務問題も含め、
「再生スキーム」に組み入れるようにしています。
最近「任意売却」を売りにしている不動産業者さんが増えましたが、
必ずしも「再生スキーム全体」を考慮していない場合もあるでしょう。
弊社であれば、
再生スキーム全体の中での不動産の任意売却が可能になります。