宮内正一コンサルタントコラム

社長の『選択』と『自己責任』についての考察とアドバイス

浪速の体育会系ターンアラウンドマネージャー、認定事業再生士の宮内です。
最近一部クライアントと、
フェイスブックでコミュニケーションしているのですが、
その中で「良く本を読んでますねー」というコメントがありました。

趣味と実益を兼ね、お堅い系の事業再生や経営モノから、
柔らかい系では漫画ワンピースやジョジョまで幅広く読んでます(笑)
という事で今回は、最近読んだ本ネタ「選択」をテーマに書いてみます。

この週末に読んだのは「選択の神話~自由の国アメリカの不自由」
…かなり良かったです。
年末年始頃読んだのが「選択の科学~コロンビア大学ビジネススクール講義」
…こちらもナカナカ。

企業において「選択」とは、経営者の「意思決定」「経営判断」という事に
なるでしょうか。
煩わしいので「選択」というタームで統一しますが、
経営者にとって「選択」とは、
時として企業の生死を決する大変厳しいものです。

最近の風潮として、「自分が行った選択については自己責任を持つべき」
という論(リバタリアン的思考)が強いように感じています。

つまりは「社長が選択した結果、上手く行かなかったら全て社長のせいだ」
という論に置き換えられると思います。
確かにその通りと思います。

しかし「本当に全てがそうなのかな?」と思う場面にも多々出会います。
最近こんなご相談がありました。

A社長
銀行に勧められ、不必要な為替デリバティブを買わされた。
(同種の話としては、預金、保険、年金、投資信託等、
支店のノルマ達成への協力を求められた話はしょっちゅう聞きます)
…円滑な銀行取引に協力すれば、困った時面倒を見てもらえると期待したが、
結局困った時に銀行は支援してくれず、雨が降れば傘は貸さない状態

B社長
いつも通り税理士に言われるまま決算を組んでいる。
…借金返済の為に不動産を売却し全額銀行返済に充てたが、
税金負担を考慮していなかった為、決算で膨大な所得税が発生し、
とても支払ができない

C社長
親会社の海外進出に伴い、海外に合弁企業を立ち上げたが、親会社が撤退、
膨大な借財だけが残った
…先代から譲り受けた国内工場も閉鎖の危機
その他言い尽くせないほど事例は有りますが、
これらの境遇に直面した社長さんには、どうしても同情してしまいます。

A社長の場合、銀行からノルマの為に要求された事をきっぱりと
断れるものでしょうか?
どうしても「銀行さんが頼むんやからしゃあないな。
こっちが困った時は助けてくれるやろ」と思うのは
普通の思考ではないでしょうか。

B社長の場合、顧問の税理士先生から「この決算で行きます」と言われて
反対できるでしょうか?
ほとんどの社長は「税理士先生の言う事やから間違いないやろ。
税金の事は判らんしな」と思いがちではないですか。

C社長の場合も同様です。海外進出する主要取引先(それも大手)に説得され
「一緒に海外についてきてくれ」と言われて断れるでしょうか。

つまりそれぞれの社長さんは「自分で選択した」かも知れませんが、
当時の状況において「ほとんど選択の余地は無かった」とも言えるのです。
「それでも全てが社長の自己責任だ」では、少し酷な気もします。
そんな重要な「選択」を迫られた時、
私がアドバイザーなら次のようにアドバイスしたでしょう。

(A社長へのアドバイス)
「銀行との円滑な関係は、ノルマに付き合う事で出来るものでは無いです」
「銀行が考える融資取引は厳格なものです。過去ノルマに協力してくれたから
 貸出条件が緩くなるという期待はしない方が良いです」

(B社長へのアドバイス)
「不動産売却で大きな納税が発生しますので、
 納税相当額を銀行返済から除くよう交渉しましょう」
「更に決算では過去の不良資産等を思い切って計上し、
 税負担を軽減するよう税理士の先生に相談しましょう」

※この実話、顧問税理士に事前相談していたのに
何のアドバイスも無かったといいます。
ほとんどの税理士は違うと思いますが、困った先生を顧問にしたものです。

(C社長へのアドバイス)
「海外進出を否定するわけでは無いですが、
 リスク管理全てが取引先に依存しているのは感心しません」
「リスクヘッジ、事業展開の面からも取引先の分散化に取り組むべきです」

そろそろ話をまとめましょう。
・社長は「選択」を迫られると同時に全ての責任者です+連帯保証人ですし
・A、B、C社長のように、外部環境(銀行、税理士、取引先)に依存した
「選択」は、正しい選択では無い危険性があります

ではどうするか?
「選択」に係るバイアスを、とにかく排除する体制を取る事です。
今回の事例で平たく言えば、銀行を知る、税を知る、経営を知る、
信頼出来るアドバイザーを常に手元に置く事です。
そうしなければ社長は、「選択余地の無い選択」を
決断せざる得ない確率が高まります。

A、B、C社長がご相談にいらした時、私が思ったのは、
「もっと早くご縁があれば、何とかなったのに…」という想いでした。
思いつく点があるのなら、今からでも遅くありません。
「選択」出来るのは社長だけです。

 

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