宮内正一コンサルタントコラム

半沢直樹を斬る

浪速の体育会系ターンアラウンドマネーージャー、宮内です。
早速ですが、ドラマ半沢直樹がすごい人気ですねー。

僕も毎回見ていますが、第7回は録画しそこない、
結局有料オンデマンドで視聴しました。
敵役の片岡愛之助が、金融庁検査官のええ味をだしています。
ホテル社長の駿河太郎も好青年役でいいですねー。

しかし現実問題、社長が取引銀行に
「金融庁検査が入ったから、あの資料だせ、この資産は売却せぇ」
って要求され続けたら、
「そんなん銀行の勝手やろ」ってハラ立つでしょうね。

僕が某社財務担当役員の時、同様の事を銀行員に言われて、
かなり気分を害した記憶があります。
(ちょっと前は銀行員の立場で、お客さんに要求したけどm(__)m)

最近良く聞かれるのは、「あのドラマはホンマなんですか?」という事。

僕の答えは、「マンガみたいなもんですが、まぁホンマに近いですよ」
「大体銀行員は、顧客より金融庁(又は地方の財務局)が怖いですから。」

という事で今回のメルマガは、銀行(信金・信組)は
金融庁検査で何を要求されているか、がテーマです。
ちょっと長いですが、マジテーマですので、お付き合いくださいm(__)m

さる9月6日、金融庁から新しい指針が出ました。
「平成25 事務年度 中小・地域金融機関向け監督方針」と言います。

「今後の金融監督の基本的考え方」に即し、
1.中小企業の経営支援をはじめとした積極的な金融仲介機能の発揮、
2.リスク管理と地域における金融システムの安定、
3.顧客保護と利用者利便の向上
となっています。

「何のこっちゃ」と思われるでしょうから、内容を突っ込んでいきましょう。

「地域金融機関に求められる役割」…と称する文中にこうあります。

「適切なリスク管理の下、目利き能力やコンサルティング機能を高め、
成長分野などへの新規融資を含む積極的な資金供給を行う」

…今までは半沢直樹宜しく、「不良債権処理」を
検査の眼目にしていましたが、これからは新規融資も頑張れ!
という方針がでました。これが最大の特徴です。

別のページには「平成25年6月に閣議決定された「日本再興戦略」等も
踏まえながら、地域金融機関における顧客企業の経営改善、事業再生、
育成・成長につながる新規融資に関する積極的な取組みを
促していくことが重要である。」とあります。

…つまりアベノミクスの一環という位置づけのようです。

では、具体的にはどうなのでしょうか?
更に深読みしてみます。

「成長可能性を重視した金融機関の新規融資の取組みの促進」
・新規融資(特に中小企業・小規模事業者向け融資)について、
どのような経営方針の下で積極的に取り組んでいるか
・新規融資の戦略・方針・具体的な目標等を立てているか。

…従来の金融庁検査では、こんな言葉はありませんでした。
新規融資拡大要請はかなり本気モードのようです。

認定事業再生士としては、次が興味深いところです。

・貸付条件の変更等を行った債務者についても、
債務者の実態を十分に把握した上で、新規融資に積極的に取り組んでいるか。
・貸付条件の変更等の履歴があることのみをもって、
新規融資の相談・申込みを謝絶していないか。

…とうとう出たか!というところです。
つまり、今まで追加融資が困難だった、リスケ企業にも新規融資しろ!
むやみに断ったらアカン、という事ですから、
これからは堂々と交渉が出来るようになる事が期待されます。

・ABL(電子記録債権の活用を含む)など、不動産担保や保証に依存しない
融資の推進や資本性借入金の活用
・特に中小企業・小規模事業者向け融資の審査に当たって、
具体的にどのような工夫・取組みを行っているか
・スコアリングによる定量面(P/L,B/S)の審査に偏重することのないように
するため、具体的にどのような工夫(定性面の評価等)・取組みを行っているか

…つまりリスケ企業でも、今まで活用しなかった担保と審査基準を活用し、
決算書以外も良く見て何とかせんかい、という方針のようです。

堅苦しい文言で疲れましたね…もう少しお付き合いください。

「中小企業に対する経営改善支援等」
・本事務年度は、金融機関として、
中小企業の経営改善・体質強化の支援を本格化させる重要な1年
・中小企業金融円滑化法の期限到来に当たり、
講ぜられた総合的な対策が官民あげて強力に推進
・他の金融機関や外部専門家等と連携・協力しつつ、
コンサルティング機能を発揮して、
経営改善計画の策定支援をはじめとする経営改善・事業再生の支援に、
これまで以上に積極的に取り組んでいく
・中小企業金融円滑化法の終了後も、引き続き、
中小企業に対しきめ細やかに対応し
円滑な資金供給や貸付けの条件の変更等に努めることが求められている

…要するに、円滑化法が終わりましたが、
急激に中小企業を見捨てず、支援せよという事でしょうか

「借手企業が経営課題を認識した上で、経営改善、事業再生等に向けて
自助努力きるよう、必要に応じ、外部専門家や
外部機関(地域経済活性化支援機構、中小企業再生支援協議会等)、
中小企業関係団体、他の金融機関、信用保証協会等と連携を図りながら、
積極的にコンサルティング機能を発揮しているか、その際、他の金融機関が
事業再生支援を行う場合には、いわゆるバンクミーティングを
開催する等積極的に連携・協力するよう努めているか、

…僕たちもバンクミーティングを多々こなしますが、
喜望大地のような事業再生コンサルとも上手く協力しなさい、
と理解しましょう。

しかし、次の項目はどうかな?と思います。
銀行員にそんな事でけへんで、と思うのですが…

「売上げ増加や事業承継の適切なアドバイス」
「事業再生、業種転換、事業承継、廃業等の支援」
「真に実効性のある経営再建計画の策定を支援」
「当該計画の進捗状況を定期的にフォロー」

…今の銀行員にこれが出来るなら、喜望大地は仕事がなくなりそうです(笑)

対銀行に関して、別の意味で面白い文言もありました。

「各金融機関においては、自らが果たすべき役割を十分に認識するとともに、
急激な社会・経済の変化や国際規制の変更等にも対応するため、
経営陣が責任ある経営判断を迅速に行う重要性が増している。」
「リスクを的確に把握した上で、5~10年後を見据えた
中長期の経営戦略を検討することが重要」

…スルーしがちな文章ですが、元銀行広報部長の私が深読みすれば、
「これらがでけへんかったら、お前らのクビは5~10年までやで」
という事です。
要するに金融庁は銀行経営者に相当脅しをかけている文言とも取れます。
業績の芳しくない、特に地方金融機関経営者にはドキッとする文言です。

私なりにバッサリ要約すると次のようになるでしょうか

1.金融円滑化法が終わったが、中小企業を簡単に見捨てるな!
2.その為、新規融資にも前向きに取り組め!
3.不良債権は見たれへんのやから、扱いは自己責任で考えろ!
4.新しい担保や審査方法を考えんかい! 横並びは終わったんじゃ!
5.もっとコンサルティング機能を発揮せぇ!
6.それが出来んと収益の低い銀行は合併させるぞ!

いゃー金融庁の検査ってやっぱり怖いですね~。
この9/6の指針を受け、銀行経営者は企画部や審査部等の本部中枢部署に
ハッパをかけている事でしょう。
何せ自分たちの立場を守りたいですから。

しかしこれで、今後1年の銀行さんの出方が見えてきました。
相手の出方が分れば、こっちだって打つ手は色々考える事ができます。

悩み多き中小企業経営者の皆さんと、一緒に考え、
そして具体的に行動していくのが喜望大地のスタンスです。
経営や銀行取引に関する事は、お気軽に声をかけてくださいm(__)m

 

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