宮内正一コンサルタントコラム

事業経営における『失敗学』を考える

浪速の体育会系ターンアラウントマネージャーの宮内です。

今年は大阪マラソンにチャレンジ!という事で、
トレーニングに励んでいたのですが、医者曰く
「走りすぎです。トシを考えなさい」とアキレス腱炎でダウン…
ちょっと悶々の日々です(;一_一)。

さて毎年8月になると世の雰囲気、決まって近代史関連本を
読む事が増えます。その中で、「こりゃ永久保存版やわ」と今年思ったのは…

・オリバーストーン「オリバーストーンが語る日米史の真実」
…原爆は戦争終結の為では無く、ソ連牽制の為だった
・ハンナ・アーレント「イェルサレムのアイヒマン」
…ホロコーストという「悪」に対する哲学的考察
・中島岳志「アジア主義」
…アジア主義が帝国主義に変貌したかの軌跡
・森達也「クォン・デ もう一人のラストエンペラー」
…ベトナム独立を目指した王子の悲劇 

とまあ、マニアックに読み込みましたが、
元々はある本との出会いが始まりです。

1984年に刊行された「失敗の本質」野中郁次郎 他著 です。

この本は「旧日本軍は負けるべくして負けたのでは?」という視点から、
旧日本軍の作戦を社会科学、特に組織論・戦略論の見地から
科学的解明を試みた名著と言われます。
それが証拠に、今も関連本が続々と出版されています。

私が勤めていた金融機関が破たんした際、この本を改めて読み返し、
「実は負けるべくして負けた…」と実感したものです。

そんな経緯も手伝って、今は事業再生を仕事にさせていただいている
訳ですが、中小企業経営者とお話して強く感じるのは、
会社が窮境状態に陥る中、必死に仕事をしている経営者は
周りが見えていない、という現象の多さです。

「こうすれば何とかなる」「今までもこのやり方で乗り切ってきた」
「きっと明日も大丈夫」「何より、毎日必死で頑張ってるやんけ」…

弊社に相談に来られる、多くの経営者は言います。

「資金があれば乗り切れる」「どこかでお金を借りれませんか」
…今既に借金だらけじゃないですか?

「今はこんな状態だけど、画期的な新製品を開発できる」
…貴方が画期的と思うのは勝手ですが、市場に受け入れられますか?

売上と利益構造を問い正すと、
経営者のハナシと決算書の結果がどうにも合致しません。

「社長、お話と数字が合いませんが…」と私

「決算の事は判らんけど、きっと利益が残るはずや」と社長

つまり冷静に考えてみれば、「何ら科学的根拠が無い」
社長の思い込み、あるいは希望的観測、
なにより現実を見て見ぬふりをしているだけ=まさに
「失敗の本質」そのものなのです。

だから私はある意味冷たく現実を説明します。
話を聞いて、がっくり肩を落とす経営者もいらっしゃいます。

しかし、ここからがスタートです。失敗の現実を見つめなおさず、
事業・企業を再生させる事は、絶対に不可能です。

逆に現実の誤りを真摯に認める事で、再生策を検討できるようにます。

・間違っていた事を止める=事業の選択と集中
・別のやり方を考える=事業ドメインの変更やマーケティングの導入
・初めから考え直す=ビジネスプロセス・リエンジニアリング etc.

窮境状態に陥った経営者の皆さん、堂々と過去の失敗を認めましょう。
何も恥ずかしい事はありません。
何故なら失敗しない人間など、存在しないからです。
失敗を認める事が、事業再生を成し遂げる経営者の
「偉大な資質」と僕は思うのです。

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