浪速の体育会系ターンアラウンドマネージャー宮内です。
今日の天気予報で大阪の最高気温予想は38度!
「アホちゃうか」レベルですね。
皆様もくれぐれも熱中症にはご注意下さい…
しかしオリンピックのマラソン、この暑さで大丈夫かいな
…死人出んかったらええけど…
(本番3日前の8/5に書いております)
早速ですが我が社は昨年から、新卒採用を始めました。
現在フレッシュな2名が頑張ってくれていますが、
私も大先輩の常務として、
優しく・丁寧に・時に厳しく・ちょいちょい「しばき」ながら、
日々彼らを教育しております。
そんなY君から質問です。
「某コンサルが、コロナ時代の中小企業経営者は
資本性劣後ローンで資金調達すべきと言ってますが、
意味が良く判りません」との事。
(宮内説明)
「日本政策金融公庫の資本性劣後ローンの事やな」
「確かに10-15年の超長期、元金返済がないから借りる方はええねん」
「ネックは金利が高い事やな」
「取引金融機関からは『資本』と見なせる事で、
安全性が高い企業と認定されるのはメリットにはなるわな」
「でもな…」
「実質超長期借入やから、むっちゃしっかりした計画書がいるねん」
「更にメインバンクと協調するんが前提条件なんねん」
「しゃあから実態はむっちゃ難しいねん」
「金融機関の件数稼ぎの為に、
借りる用事の無い優良企業が使ってるんがほとんどで、
事業再生のお客さんには縁遠いハナシっちゅうのが実態やな」
と、説明しました。
ここでメルマガが終わっては学びが無いので、
もう少し突っ込んで説明させてもらいます。
まず借入金は大きく「短期借入金」と「長期借入金」があります。
金融機関の研修では
「短期と長期の区別とは1年を超えるか否か」と教わります。
事業再生の専門家としては
「流動資産に関する借入金が、流動負債の短期借入金」
「固定資産に関する借入金は、固定負債の長期借入金」
とした方がより正確だと思います。
流動資産に関する資金ニーズは、要するに運転資金です。
売掛金+在庫-買掛金、という計算で算出しますが、
全て流動資産と流動負債に含まれますよね。
固定資産に関する資金ニーズは、
要するに設備資金です。
バランスシートの固定資産に計上される設備・建物
などの資産に対する借入です。
本来の借入金は、短期と長期が厳然と区別され、
その上で返済されるのが正常な形と言っていいでしょう。
しかし中小企業の実態はそうなっていません。
長年の保証協会保証の異常な拡充によって、
短期と長期の区別が無くなっています。
これはバランスシートのバランスが
崩れかけていると言って良い状態です。
その上に今回のコロナ借入です。
保証協会のゼロゼロ(金利・保証料ゼロ)は
確かに有難いのですが、
これは本来の借入方法の短期・長期いずれに
分類すべきでしょうか?
名目上は長期借入ですよね?
でも設備投資をした訳でも無いのに…
何か変な感じ…と思うのは私だけでしょうか。
コロナ禍が一服した頃…年末・来年になるかな?
コロナ借入で膨れ上がった借入金の元金返済は、
以前より確実に重くなっています。
それはかなり危険な状態ではないでしょうか?
冒頭の資本性劣後ローンの話ではないですが、
今回のコロナ禍のような特殊な経済停滞状態では、
借入では無く資本を増強すべきであると私は考えます。
本来であれば長期借入では無いものを、
通常の長期借入として無理に弁済を続けると、
資金繰りに窮する中小企業が続発する可能性が高いからです。
かつてバブル経済崩壊後、
政府は金融機関救済の為に巨額の資本を注入し、
銀行の破綻を回避しました。
それらの資金は最近になってやっと弁済された訳ですが、
今回もそれに習うべき事態と考えています。
恐らく近々、幾つかの大企業に
「コロナ禍を克服する為の資本注入」という類の記事が、
新聞を賑わすと思っています。
しかし残念ながら、
多くの中小零細企業は資本注入の恩恵を受ける事は出来ないでしょう。
冒頭の話の通り、
資本性劣後ローンの実行は極めてハードルが高い為です。
コロナ借入・保証協会付き借入で、
バラスシートのバランスが崩れてしまった中小企業は、
金融機関や政府の匙加減に生殺与奪の権を
握られていると言ってよいかも知れません。
弊社にお声かけいただければ、
壊れたバランスシート修復・生殺与奪の権の奪還を
お手伝いさせていただきます。