『為替デリバティブ』取引で
大きな損失を被っている中小企業経営者に朗報です。
これまで、折返し融資にほぼ限定されていた解決策ですが、
ここにきて、銀行による損金の一部免除の動きが出てきています。
今回のメルマガを通じて、読者の皆さんが上に該当する可能性があるのか?
該当した場合の対応方法等につきお話したいと思います。
1.相場勘は、あてにしてはいけない。
今後の為替市場は、どのように動くのでしょうか。
結論は、『分からない』が最も妥当な回答だと思います。
古い話になりますが16年前の1995年4月に79.75を記録した当時、
私はディーラーをしており、画面にくぎ付けになっていました。
通常、$/\は売り手も買い手も十分な数がおり(流動性が高い等と言います)
連続的なチャートを描く事が多いのですが、
このときは、あれよあれよという間に、
ひゅるひゅるっと買い手が全くつかないまま、ほぼ垂直に落下(円高)し、
79.75をつけた事を鮮明に覚えております
現在は相場から離れておりますが、8月19日のNY市場で$/\が75.95まで
上昇した時もそのような動きだったのかもしれませんね。
このような為替ディーラーでも、一流証券会社のアナリストでも、
為替相場を当てることは、非常に難しいものです。
雑誌等で企画する年末のアナリストによる為替相場予想で、
大きく外れている方が多いことを皆さん経験上知っているはずです。
政府も、財務省も、日銀にもコントロールが効かない
モンスターのようなものかもしれません。
よって、為替デリバティブで苦しんでいる経営者の中で、
『自分の相場観ではこれから一気に円安に行く』という方が
いらっしゃるかもしれませんが、
実需以上のデリバティブ取引を抱えているならば解約を
検討した方が賢明だと思います。
2.これまでの為替デリバティブ損失への対処方法
2011年1月に、メガバンクが、金融庁の行政指導により、
為替デリバティブで多額の損失を抱えた中小企業への折返し融資を
積極的に行うとの報道があったことは記憶に新しいと思います。
現場では、報道の前から折返し融資による解決が行われていたと思われます。
この解決方法は、損金の一括返済よりは
資金繰りの負担が軽いとはいう利点があるものの、
取引実施の経緯を考えると、
損金の免除をしてほしいというのが経営者の本音だったと思われます。
しかし、『説明義務』の明確な違反行為が無い限り
免除等は出来なかったわけです。
3.損金の8割を銀行負担とするような和解案も。
2011.8.22 金融財政事情によると、(一部抜粋)
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『解約金+損失額のうち5割を銀行の負担とする』
あっせん委員より出された和解案。
ある銀行幹部は、『為替デリバティブの金融ADRで銀行が負担する割合は、
よくても5対5の痛み分け、銀行側が7~8割を負担するケースもある』
『説明義務』が問われるケースもあるが、
ほとんどの場合で問題になっているのが『適合性の原則違反』である。
そ
つまり、実需を大幅に上回る取引を行うケースや、
大半がユーロ建て決済にも拘わらず$/\のデリバティブ取引を行うケースが、
上に該当すると思われます。
読者の会社でも当てはまるケースが多いのは無いでしょうか。
興味ある方は、下記URLにてバックナンバーを購入する事が出来ます。
http://store.kinzai.jp/magazine/search.html?search=backnumber&code=AZ&year=2011
4.相談先
取引銀行 :まずは各行の担当者又は、各行の相談窓口へご連絡
弁護士 :上で納得いかなかった場合は、弁護士に相談
全銀協ADR :弁護士でも解決まで長引きそう、
和解条件に納得がいかない場合に
相談してみたら如何でしょうか。
http://www.zenginkyo.or.jp/adr/
経営者の悩みは今回の為替デリバティブに限らず多岐にわたることでしょう、
上に相談される前に、当社へ相談されることも、手前味噌ながらお薦めです。
ご連絡お待ちしております。