昨年の12月27日に自見金融担当大臣の談話として
「中小企業金融円滑化法の期限の最終延長等について」
がリリースされました。
詳細は、以下URLを参照願います。
http://www.fsa.go.jp/common/conference/danwa/20111227-1.html
年末年始にお問い合わせが多かったことから、コメント致します。
1.今回のポイントは、「金融規律の確保にかかる取組」
(談話の(2)参照)であり、
これは、金融機関の不良債権処理の方向性を示唆していると思われます。
これまでの円滑化法においては、妥当性のある経営改善計画があれば、
金融機関は引当金をほとんど積まなくて良い事になっていました。
平たく言えば、経営改善計画があればリスケ案件でも金融機関は、
貸倒見通しに相当する金額をほとんど計上しなくとも良い状況だった訳です。
一方、世の中のリスケ案件の合計額は44兆円にも上ります。
建前上は、ほとんど貸倒が無いだろうとの事になっていますが、
実際は、5~10兆円は貸倒れするのではないでしょうか。
いずれにしても、突然、兆円単位の貸倒引当をすることは
金融機関の決算への影響が過大です。
金融不安の引き金になりかねません。
金融庁はどう落とし所を見つけるのでしょうか。
ここで大臣談話(2)の2つ目を見てみると
「対象企業の実態に応じた適切な債務者区分・引当の実施」
との記載があります。
これは従来の円滑化法では見られなかったものです。
これらから、今回金融庁は、
「1年の延長期間内に、金融機関はある程度の引当を積んで置きなさい」との
メッセージを出したと読むのが妥当と思います。
2.それではリスケ中の企業側には、どのような影響があるのでしょうか。
延長になってラッキー!という訳にはいかないでしょう。
一昨年は、ほぼ無条件でリスケ申請が承認されておりましたが、
円滑化法の実質2年目となる昨年から、
金融機関による支援対象の選別が進んでいます。
平たく言えば、支援を継続する企業と、
支援を打ち切る企業にバッサリ分けています。
経営改善計画の提出さえ出来ていない企業、計画の大幅未達&回復見込み薄、
元本棚上げが長期化している企業等は、非常に厳しいと言わざるをえません。
残念ながら大きな方向性は、
円滑化法が1年延長しても変わらないと思います。
ただし、震災で直接被害を受けた企業、
支援選別の当落上にある企業にとっては、
延長はプラスに働く可能性があります。
経営者は、妥当性ある経営改善計画を策定し、
しっかりと実績を出し続けることでしか再生を実現できないようです。
経営者の皆さん、今年も一緒に頑張りましょう。