先日、一般労働者派遣事業の現況を調べる必要がありました。
貴重な生の情報も戴いたことから、
制度の変更内容(少し古いはなしですが)と、
審査方法見直し後の実際の審査状況について紹介します。
1.そもそも一般労働者派遣事業とは?
派遣事業の内、常用雇用労働者以外も対象にする派遣事業をさします。
常用のみを対象とする場合は、特定労働者派遣事業といいます。
尚、似た言葉で請負事業というのもありますが、
請負事業は注文者が指揮命令が出来ないのに対して、
派遣事業は指揮命令が可能であるという違いがあります。
派遣先の社員が、派遣社員さんに指揮命令しても良いですが、
請負先の社員が、請負社員に指揮命令しちゃだめですよということ、です。
2.一般労働者派遣事業の許可条件変更
1)施行時期:新規許可は平成21年10月1日、更新許可は平成22年4月1日
2)基準資産額要件(=資産額-負債額)
1,000万円×事業所数⇒2,000万円×事業所数
3)現預金額の要件
800万円×事業所数⇒1,500万円×事業所数
4)派遣元責任者の要件
詳しくは、こちらを参照ください。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/05/h0518-1.html
3.審査方法の見直し
1)施行時期 平成23年10月1日
2)資産価格を満たさない場合の処置見直し
基準資産額の増加申し立て、現預金額増加の申し立てで対応
(増資、中間決算書提出、市場性ある資産の評価証明書等添付)
⇒公認会計士または監査法人による監査証明を受けた
中間・月間決算書を提出の上、再度審査する。
分かりにくいかもしれませんが、
監査証明が必要=相当にハードルが高くなったと言えるでしょう。
4.許可条件変更と審査方法見直しの背景
1)2008年のリーマンショック後に派遣社員の解雇が
増加する等の事態が起きたことから、
安易な新規参入や、
問題企業の事業継続を阻止すべく変更されたようです。
2)上の精神は良く理解できますが、財務要件を約2倍も上げるとなると、
業界特化型で小規模で良質な派遣会社さん等も存続難しいかもしれません。
そうなると合従連衡が続くんでしょうね。
特に今年に入り、派遣会社さんのM&A情報が増えてきた実感あります。
5.審査の現況について(複数名からヒアリング)
1)変更前と比較し、特に厳しくなったとの認識ない。
2)新規許可、更新時ではなく、調査時が厳しくなった印象。
(民主党から、自民党への政権交代の影響でしょうか。)
上は、共通した回答結果でしたので、全国的な傾向と見て良いと思います
結局、以前と変わらないとの回答となりましたが、
本分野における信頼できる情報が極めて少ない事から、
一部の方には有益な情報になったものと思います。
その他、詳細部分に関する回答もありましたが、
書きにくいため割愛します。
ご興味あれば、直接当社へお問い合わせください。