坂本利秋コンサルタントコラム

その事業承継は間違っていませんか?

1.事業承継では経済合理性は無視?

サラリーマンが所有する主な資産は、
金融資産、不動産といったところでしょう。

金融資産の代表格である株式では、長期保有もあれば、
チャートによる短期売買もあります。

不動産も、購入時には不動産情報サイトを
くまなくチェックするでしょう。

日常品でも、1円でも安く買うためにチラシを比較したり、
わざわざ自転車で遠出して購入しますよね。

これらの行動の原理原則は経済合理性、
つまり損得です。

さて、サラリーマンでなく、
オーナー社長の最大の資産は自身が経営する
会社の株式になります。

オーナー社長は例外なく、
永遠にオーナー社長を続けることはできませんから、
どこかで親族へ事業承継するか、
第三者へ売却するか、廃業を選択することになります。

ここでは先ほどの行動原則があてはまりません。

多くの経営者が、後継者がいるというだけの
理由で事業承継を選択するのです。

売却、廃業と比較した上で事業承継を決断する経営者は少数で、
大部分が自動的に承継を選択しているように見えます。

現時点で業績も財務状況も良く、
事業環境がさらに良くなり、
後継者が優秀で他の誰よりも会社の成長に
貢献できるという理想的な状況であれば、
事業承継が最善策です。

事業環境の悪化が確実でも、
実質破たん状況で次の経営者の破産リスクが目の前にあっても、
残念ながら後継者がその器で無いと経営者が分かっていても、
後継者がいるからといった理由で
事業承継するのは果たして正しいのでしょうか?

事業承継に損得は関係ないと言い切れる経営者と後継者にとっては
正しいと思いますが、
そこまで割り切れない経営者は冷静に考えてみるべきです。

2.会社の売却金額の算出方法

ここでは経済合理性に基づいた選び方についてお話いたしましょう。

事業承継の価値自体を価格算定するのは困難ですから、
現実的には会社売却時の手残額、廃業時の手残額を算出した上で、
それでも事業承継するかを考えることになります。

突然ですが、トヨタ自動車の株価と時価総額は分かりますか。

ネットで検索すれば、瞬時に結果が出てきますね。

では、あなたの会社の株価と時価総額を教えて下さい。

自身の会社であれば隅々まで把握しているのに、
これには回答できないのが一般的でしょう。

トヨタのような上場企業の株式は、
取引所を介して多くの投資家が売り注文、買い注文を出しており、
いつでもだれでも画面表示に近い価格での売買が可能です。

当期純利益に対して株価が低いのでは?
などの意見もあるかもしれませんが関係ありません。

全ての情報を織り込んで実際に売買されている株価が時価です。

では中小企業はどうでしょうか。

上場企業と異なり、株式の譲渡には制限が付くことが一般的です。

だれでもいつでも株式を購入できる状況にないわけです。

となると上場企業のようなリアルタイムの
売買価格に基づいた時価は存在しません。

一方で国内のM&A市場は件数、金額ともに過去最高を更新しています。

主な売り手は中小企業ですから、
いまもどこかで実際に中小企業の株式に金額がつき、
売買されているのです。

株式市場での売買ができませんので、
中小企業の株価は計算によって算出されます。

実際のM&Aの現場で用いられている代表的な
方法を3つ紹介しましょう。

今回は概念の説明のみですが、
実はだれでも10分間程度で簡単に計算できます。

PCは使えないし、経済学部の出身じゃないしと心配かもしれませんが、
電卓+算数レベルの知識があれば充分です。

(1)純資産と今期利益をベース

自社の決算書の貸借対照表を見て下さい。

右下に純資産又は自己資本が記載されています。

総資産から負債を引いたものが純資産ですが、
これを基準に数年間の利益を上乗せしたものを
会社の価値とする考え方です。

(2)今期の現金収入と業界をベース

今度は決算書の損益計算書を見て下さい。

下の方に営業利益があります。

いわゆる本業における収益を表すものです。

ここでは減価償却費は経費扱いですが、
その額の出金が実際にあったわけではありません。

よって、現金収入額は、営業利益+減価償却費としています。

この現金収入額が継続すると思われる年数を
掛けたものが会社の価値という考え方です。

この年数は、同業の上場企業の数値を用いることが一般的です。

(3)将来の現金収入をベース

今期だけでなく、来期、再来期と将来の現金収入を予測します。

それらを合算したものが会社の価値という考え方です。

【まとめ】

事業承継でも経済合理性を考慮した方が良い

中小企業の主な株価算定方法

2019年7月17日(水)に当社東京本部にてセミナーを行います。

上を始め、経営承継の検討の際に、役立つ内容です。

是非、お申込ください。お待ちしております。

 

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