札幌に本社がある建設業の2代目予定者であるK常務から、
事業再生の依頼がありました。
札幌では、老舗の建設業で御尊父の社長は、70歳。
脇を固める営業担当専務65歳・経理担当専務65歳
年商20億円・札幌本社ほかの3拠点で、社員100名
K常務は、45歳ながら、シニアの専務に小僧扱いされています。
また、部長・支店長・ベテラン社員には、60歳以上のメンバーが
ぞろぞろいて、相当平均年齢が高い会社でした。
今回の最大の課題は、経理担当専務が独断でえらいことをしてくれました。
な、なんと、銀行に相談なく、勝手に新本社建築契約を締結して、
工事が着工されていて、寝耳に水の銀行すべてが、
あきれて横を向いてしまいました。
それは、「本社を新築すると言う重要なことを相談なくはじめて、
後から資金を貸してくれは、無いだろう。」
と言う、至極まともな反応でした。
すなわち、自己資金があるならば、何等問題ありませんが、
銀行の借入金による調達が必要にも拘らず、
一切相談しなかったというものです。
それも、65歳の超ベテラン専務であり、
社長は、70歳の大物経営者ですから、
銀行がビックらこいたのも、当然ですね。
しかも、50,000千円×3行=150,000千円必要でした。
その当てにしていた、H銀行は、手貸の書換え(ロールオーバー)にも応じない。
危険な状況でした。
書換えに応じないことは、返済期限が期流れであり、
いつでも、「期限の利益(=分割にて支払う権利)喪失」を
通告されても不思議でない、恐ろしい状況です。
あんれまあ!
さあ、如何にして、この冷え切った関係を修復するか?
そこで、悩める社長の救世主:洲山の登場です。
この事態では、経営改善では間に合いませんから、
経営変革しなければなりません。
スタートして、オーナーファミリーの意思統一が不可欠です。
そこで、初回訪問時に、社長宅を訪ねて、洲山方針をプレゼンしました。
1.経営のガバナンス(統治)をジュニアに委譲する。
ジュニアを常務から副社長に昇格し、指揮命令系統統一
2.遊休資産の売却を推進し、借入金の返済実施
3.60歳以上のシニアの給与見直し、全員100千円に統一
(それまでは、300千円~600千円)
但し、退職金を毎月100千円の分割支払い実施
持株を毎月100千円の分割買い上げ実施
従って、幹部は都合300千円は支払い継続
結果:毎月5,000千円×12=年間60,000千円収益改善
4.K支店の支店長にMBO(エムビーオー)を提案する。
約5千坪の敷地があり、延500坪の建物と社員を引取り、
独立起業を勧めました。
MBOとは、マネージメントバイアウトの略であり、
経営幹部が会社もしくは、事業部を買収する事です。
支店長が独立する場合は、仕事は慣れていますし、社員とは
気心が知れていますし、お客様も仕入先も馴染みの方々なので、
最も抵抗なく、すんなりと受け入れて貰えます。
5.経理担当専務は、責任を取り退任していただき、
代わりに常務の奥様に入社いただき、担当いただく
上記方針の元、一気に変革を推進し、年末ぎりぎりのクリスマスに、
資金調達が、間に合いました。
一時は、建築工事が終わったのに、引越しをしないのは、何故か?
との、悪い噂が出かけており、冷や冷やモノでした。
その後、翌年春には、札幌市内のホテルで、
「創業記念式典・新本社落成披露・会長社長就任披露」
を開催出来ました。
洲山もミッションインポッシブルの主人公になった積りで、
充実感と達成感を味わえた北の大地での再生物語でした。