洲山コンサルタントコラム

破産覚悟から事業承継し、5千万円の純資産確保し、不動産業開始した奇跡の物語

昨年の春に、九州地方の人口8万人のローカル都市で工具卸の
社長の長男さんから電話相談がありました。
元気だった80歳の父が、急におかしくなり、父の症状も心配だし、
両親が経営している会社の経営も心配との由でした。

そこで、会社の経営内容がわかる決算書や借入金関係と個人の資産や
債務状況もできるだけ資料を持参するように依頼しました。

しばらくして、資料を持参して、長男ご夫婦が相談に来社されました。
資料を拝見すると、年商3千万円しかないのに、借金が7千万円もあり、
毎年500万円前後の赤字を継続していました。

しかし、個人の定期預金がまだ約2千万円あり、不動産資産もあり、
証券会社に2千万円位の株券もあるようでした。

長男さんが、破産も覚悟しながら相談に来社されたのは、
顧問の税理士事務所の和解担当者がこのままでは、後始末が大変なので、
(=倒産して連帯保証債務を相続したら大変)、
会社を整理したほうが良いのでは、とのアドバイスがあったからでした。

一昨年末までは、元気でパソコンも使っていたのが、
年を超えてから急に痴呆症の症状が出だして、
正常な状態と痴呆状態がでる状態ゆえ、
一刻の猶予もないと判断しました。

それは、完全な痴呆症となると経営判断が出来ず、
個人としても成年後見人をつけて、自由に資産処分などが出来なくなり、
経営再建に支障が生じると考えたからです。

現地調査で、実態把握
そこで、現地調査により、
資産と負債関係の把握と事業の継続可能性を判断することにしました。
本社不動産は、旧国道沿いに面して500坪以上あるのですが、
法人と個人の所有が入り混じり、公図と登記簿謄本及び
固定資産税評価証明書にて精査しました。

他に個人所有の不動産があり、証券会社に時価2千万円前後の株式も
エビデンス(証拠書類)にて確認しました。

金融債務は、取引銀行の支店に出向いて、プロパー融資と
信用保証協会融資と返済条件などを確認しました。

事業の将来性は、店舗視察と売上状況を母親(社長の妻)から
ヒヤリングしました。
ここ数年を毎年500万円前後の赤字を個人資産投入して、
なんとか資金繰りを回している状況です。

店内の扱い商品と倉庫の在庫を見ました。
昭和レトロの商品がたくさんあり、不良在庫のオンパレードでした。
また、業種的にも明るい未来はなく、
長男が跡取りとして頑張る価値はないと即断しました。

そこで、年内に廃業するスケジュールを考えてファミリーに提案して、
個人資産は全て会社に売却し、会社資産とし、
長男が代表取締役に就任して、
いつでも自由に処分できる形を取ることにしました。
その流れで、不動産と有価証券も全て、
個人資産は会社に売却手続きを取りました。

銀行との債務返済交渉
長男が代表取締役就任した後、銀行に同行して挨拶と、
借入金の返済条件などを打ち合わせしました。
そこで、事業停止して、跡地の売却か賃貸借としての収益不動産化を
検討している旨を話すと、
売却先を銀行でもサポートするとの話になりました。

「新代表取締役は、借入債務の連帯保証人になり、
不動産を追加担保に入れることにより、
12月に期限の来る手形借入の書き換えに応じる。」
との強制的な主張もありましたが、
不動産売却すれば、完済も可能であることを主張して、
しばらく様子を見ることになりました。

その前には、ビジネスホテル・コンビニエンス・駐車場などの
可能性を模索しましたが、ロケーション的に誘致が困難でした。

本社不動産の売却を実現し、無借金実現

その後、銀行紹介の地元不動産会社経由で
6,000万円の買付証明が入り、12月中旬には取引が成立して、
個人の定期預金も解約して追加投入し、
全借り入れ債務を完済できました。

つまり、会社倒産して連帯保証債務を相続する悪夢からは、
解放されたわけです。

更に、もう一箇所の不動産も700万円で売却目処が立ちました。
事業廃業作戦も順調に進み、閉店セールによる在庫一掃セールで
昭和レトロ商品も含めて年季の入った在庫もどんどん売れて、
空っぽになりました。

そうこうしているうちに、アベノミクス効果での株高にも恵まれて、
証券会社に預けている株式価値が
約1千万円近く上昇するラッキーもありました。

不動産投資会社に業態転換
無借金経営となり、金融資産と不動産資産を計算すると、
なんと5千万円もの純資産が残ることになりました。

皮肉なことに、借金がなくなり、
代わりに相続税の心配が新たに発生しました。
そこで、相続税対策を税理士の先生と相談しながら節税対策により、
ほとんど税金のかからない目処が立ち、今後の事業展開を相談しました。

残りの不動産は、あわてずに売却方針として、
金融資産を有効活用する不動産投資会社に
業態転換することを決断しました。
今後は、不動産投資業としてなんの憂いもなく、
事業展開できると感謝されました。

そして、その記念すべき第一号物件を洲山の紹介で、
関西地方の社長の自宅を守るプロジェクトの自宅を買取して、
家賃で貸して、将来買戻しをして貰う案件のマッチングが成立しました。

まとめ
現状把握を正確に且つ本質を見抜く目ですれば、
ソリューション(課題解決策)の道が見えてきます。
体調を壊した父が安心して療養でき、長年ご苦労された母が、
余生を余裕で暮らし、長男が資金繰りの不安を抱かずに承継できる
連立方程式を解き、
不動産の持つ最高のパーフォーマンスとして売却を決断し、
運良く買い手が見つかりました。

長女が代表取締役就任時に、債務超過で株式の譲渡がスムーズに出来、
法人と個人の所有権が入り交じっている状態を
きちんと整理したのが、正解でした。
今回は、材料素材を最高に引き出した一流シェフの心境です。!(^^)!

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