約束した期限が来るまでは返済しなくてもいいという債務者の権利。
例えば、借金の返済期限が設定されている場合、
債務者は期限が到来するまでは返済する義務はなく、
また返済を求められることもない。
つまり、一定期限の中で分割返済できるという権利でもあり、
債権者はこの権利を債務者に与える代わりに金利を取ることができる。
期限の利益を喪失するということは、
喪失した時点で直ちに債務を弁済をしなければならないということである。
この場合、債権者の請求によって期限の利益が失われるとするものと、
通知・催告なしに当然に期限の利益が失われるとするものとがある。
期限の利益の喪失条項としては、一般的に以下のような場合に
期限の利益を失うとする規定がおかれることが多い。
1.債務者が他の債務につき、強制執行、保全処分などを受けたとき
2.債務者に対し、破産手続・民事再生手続又は会社更生手続開始の申立てがあったとき
3.債務者が国税滞納処分またはその例による差押えを受けたとき
4.債務者が住所を変更し、その旨を債権者に告知しないとき
これら以外にも割賦払債務の弁済を一回でも怠った場合など、
一定の事由が生じた場合につき期限の利益を喪失することを内容とする
期限利益喪失約款が当事者間で特約で結ばれることも多い。