金融庁が2002年10月30日に発表した、
不良債権問題解決を通じた金融システム・経済再生のプログラム。
04年度末には主要行の不良債権比率を、02年度末(8.4%)の半分程度に低下させ、
市場から信頼され構造改革を支えるような金融システムの構築を目指した。
個別銀行が資本不足等に陥った場合には、
システミックリスク(ある金融機関が決済不能となった場合に、それが決済システムを通じて連鎖的に波及するリスク)回避のため日銀の特別融資を始めとする万全の措置を講ずるが、
他方、当該特別支援金融機関に対しては経営陣の経営責任を問うなど、経営監視を強める。
特別支援金融機関に至る前の通常の具体的な金融行政面では、
(1)資産査定の厳格化
(2)自己資本の充実
(3)ガバナンスの強化
の3点を強化した。
(1)では、引き当てに関するDCF的手法(DCF:discounted cash flow)の採用がうたわれ、
不良債権に比して過小の引当金しか積まない従来の慣行が厳しく批判された。
(2)では、実際には赤字が続いてキャッシュフローを生まないのに、
過大に計上されていた繰り延べ税金資産の合理性の確認を厳しく行う方向が示された。
(3)では、政府の保有する優先株の普通株転換のガイドライン作成が明記された。
経営健全化計画未達の公的資金注入行に対しては業務改善命令を発出でき、
業務改善計画も未達の場合は、優先株を普通株に転換して国が議決権を行使できるという流れが作られた。
03年5月には、りそな銀行が実質国有化に追い込まれた。04年度末の主要行の不良債権比率は2.9%となり、プログラムの目標はほぼ達成された。