金融庁が1999年4月に決定した金融監査に対する新しい業務指針。
金融機関を検査する際の手引書。
正式名称は「預金等受入金融機関に係わる検査マニュアル」。
当初は銀行のみを対象としていたが、その後、信用金庫など他の預金取り扱い金融機関や保険会社、
証券会社向けのマニュアルも作られるようになった。
マニュアルでは金融機関に対して厳格な資産査定を促すとともに、
金融機関ごとにまちまちであった自己査定の基準を一本化した。
検査項目には、リスク管理に対する意識の向上、企業倫理に対する自覚の促進を盛り込んでいる。
さらに2002年には中小企業に特化した「中小企業金融検査マニュアル」が作成され、
2004年2月には別冊(中小企業編)を発表し、中小企業向け検査の弾力化を図り、
マニュアルの一部を改正した。
2018年度終了後をめどに「金融検査マニュアル」を廃止。
厳格な資産査定で財務健全化を迫った従来の手法を改め、
各機関の経営判断を尊重して改善を促す方針を明確にする。
金融庁の有識者会議が今年3月とりまとめた報告では、
人口減少や技術革新への対応など金融機関の経営課題が多様化する中、
マニュアル重視の検査は「最低基準さえ充足すればよいというカルチャーを生み、
変化への機動的対応を妨げる」として抜本的見直しを提言していた。
金融庁は今回新たに示した考え方で、検査マニュアルを廃止し、
これまで示してきた一律のチェックリストや
資産査定基準も廃止する方針を明記した。
そのうえで、各金融機関のビジネスモデルや置かれた環境を把握し、
その内容に応じて個別に改善を促していく方針を明らかにした。
さらに金融機関に積極的な情報開示を求め、創意工夫を競い合う環境作りを目指す考えも示した。